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空き家活用の成功事例5選。専門家と読み解く地域再生のヒント

  • 公開日
古い建物が並ぶ路地、カフェなどの写真を背景に、「空き家活用」と書かれたタイトルが中央に配置されている

全国で高齢化や人口減少が進むなか、住み手を失った空き家が増加し続けています。適切に管理されない空き家は、景観の悪化や防災・防犯上のリスクにつながり、地域にさまざまな影響を及ぼします。一方で、視点を変えれば、住まいや店舗、交流拠点などとして活用することで、地域に新たな価値を生み出す可能性も秘めています。

こうした背景から、各地では自治体や企業、地域住民が連携し、空き家をまちづくりや地域活性化に活かす取り組みが広がっています。本記事では、空き家を取り巻く現状と課題を整理したうえで、全国の成功事例を紹介。専門家の監修のもと、地域における活用の方向性や、成功事例に共通するポイントを読み解きます。

Index

そもそも空き家とは? 定義と現状を整理

まずは基礎知識として、空き家の定義と日本における空き家増加の状況を解説します。

空き家の定義

古い木造建物の外壁に、配管や給湯器が取り付けられている。右側には建物の間の細い路地が続いている

[画像提供:株式会社まちづクリエイティブ]

「空き家」とは、およそ1年以上のあいだ住まれていない、または使われていない建物やその敷地などを指します*1 *2。住宅のほかに事務所・店舗・倉庫や、これらの建物に付属する庭、そこに生えている木なども含まれます。

空き家にあたるかどうかの主な判断基準は、所有者による使用状況や、人の出入りの頻度、電気・ガス・水道の使用実績などです。時々人が出入りして空気の入れ替えをするなどの「管理」を行っている建物であっても、実際に居住や事業などで「使用」されない状態が長期間継続していれば空き家とみなされます。

日本の空き家率はどれくらい?

2023年時点で空き家の数は、過去最多の900.2万戸、総住宅数に占める空き家の割合(空き家率)は過去最高の13.8%におよびます*3

実は、賃貸・売却用の物件や別荘などのうち、上記の定義に該当するものも「空き家」に含まれます。しかし、いま深刻な問題になっているのは、賃貸や売却の予定も別荘としての利用もない「使用目的のない空き家」の増加です。

こうした使用目的のない空き家は全体の空き家のうち4割を占めており、この20年で1.9倍に増えています*3。今後も増加することが見込まれており、その適切な管理や有効活用が大きな課題となっています*4

【監修者コメント】日本社会で空き家問題が生まれる理由

米山秀隆さんのポートレート

米山

戦後から高度成長期にかけての人口増加に応えるため、大量の住宅が供給されました。その過程で、良質な資材を用い、腕の立つ職人が長持ちする住宅を建てるという伝統は、次第に受け継がれにくくなる部分もありました。それでも多くの住宅が購入されたのは、住宅寿命は短くても土地の値段が上がり続ける時代であったため、資産価値を保ちやすかったからです。

人口が増加する時代には、街は郊外へと広がり、新築住宅が次々と供給されました。しかし、人口減少時代に入ると、引き継ぎ手のいない物件から空き家になっていきました。

これに対して欧米の住宅市場では、街をむやみに広げず、長持ちする住宅を建て、中古住宅に住むのも一般的です。そのため、住宅が資産として流通しやすく、空き家が発生しにくい構造になっています。一方、日本では、街を広げながら新築住宅を供給してきた反面、中古住宅としての価値が十分に残りにくく、人口減少に伴って住宅が空き家のまま放置されるケースが増えていったのです。

空き家の放置が地域社会に招く3つのリスク

適切な管理や活用を行わずに空き家を放置することは、地域に以下のような影響を及ぼす恐れがあります*5

古い木造家屋が立ち並ぶ、緑に囲まれた細い路地

安全・防災面でのリスク】

  • 老朽化や災害に伴う倒壊、外壁・屋根材の落下により周辺の家屋や通行人に被害が及ぶ
  • 火災が発生した際に周辺へ延焼し、被害が広がる

衛生・環境面でのリスク】

  • 放置されたごみや生い茂った草木のまわりに害虫・害獣が発生する
  • 不用品や廃材の不法投棄を招き、悪臭や害虫などの被害が生じる

景観・治安面でのリスク】

  • 建物の破損やごみの散乱などにより地域の景観を損ねる
  • 不法侵入や放火、不法投棄などを誘発し、地域の治安が悪化する

なぜ空き家活用が地域に求められているのか

続いて、各地域で空き家活用が重要視される理由について、社会的背景と活用によるメリットの両面から解説します。

市場原理だけでは空き家問題が解決しない理由

以下のような複数の要因により、売却や賃貸に出すことも、解体することもできないまま放置される空き家が増えています。こうした構造が、空き家問題の根底にあると考えられます。

  • 老朽化した建物の修繕・解体には多くの費用がかかる
  • 過疎化の進む地域では、建物の状態が良好でも住宅としての需要が生まれにくい
  • 住宅用地は固定資産税の優遇対象となるため、更地にすると税負担が重くなる

現在は法改正によって、安全・衛生・景観の観点で特に不適切な状態にある空き家(特定空家)や、その予備軍といえるもの(管理不全空家)については、勧告を受けると住宅用地特例の適用対象から除外され、税制上の優遇が解除される仕組みになりました。

こうした状況を踏まえ、各自治体が法に基づく不適切な空き家の特定や指導・勧告を進め、積極的に空き家の流通・利活用を促す取り組みを行うことが大切です。

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空き家活用が地域にもたらす価値

緑豊かな山あいの道を、家族が手をつないで歩いている

[画像提供:NPO法人集落丸山]

空き家活用の推進が地域にもたらすのは、景観や治安など多方面に及ぶリスクの解消だけではありません。空き家の活用は、以下のようにさまざまな経済的・社会的な効果を生み、地域活性化にもつながる取り組みだといえます。

  • 移住・定住の促進
    →空き家を賃貸住宅や移住者向けの住まいとして活用することで、地域外から人を呼び込み、人口減少の抑制や定住促進につながる可能性があります。
  • 関係人口の創出
    →宿泊施設や体験拠点、サテライトオフィスなどとして活用することで、地域外の人が継続的にかかわるきっかけが生まれます。
  • 雇用・経済の活性化
    →カフェや商業施設、事業拠点として再生することで、新たなビジネスや雇用が生まれ、地域経済の活性化につながります。
  • コミュニティの活性化
    →交流拠点や多機能施設として活用することで、地域住民が集い交流する場が生まれ、人と人とのつながりを育むことができます。

【監修者コメント】地域が空き家活用に取り組む意義と可能性

米山秀隆さんのポートレート

米山

2015年に制定された空家対策特別措置法により、周囲に悪影響を及ぼすような空き家の所有者に対しては、指導・助言、勧告、命令といった措置が段階的に講じられるようになりました。また、指導に従わず勧告を受けた場合、その土地に対する税の優遇(住宅用地特例)も解除されることになりました。

ただし、空き家対策は、単に問題のある建物を取り除いたり、売却・賃貸によって市場に戻したりするだけではありません。地域が主体となって空き家の使い道を考えることで、住まいや店舗、交流拠点、宿泊施設など、地域に必要な機能へと転換できる可能性があります。

たとえば、移住者の受け皿となる住まいをつくる、地域住民が集まる場所を生み出す、観光客や地域外の人が継続的に訪れるきっかけをつくるなど、空き家活用は人口減少や地域経済、コミュニティの課題に働きかける手段にもなります。地域住民や事業者、自治体が連携しながら活用方法を考えること自体が、地域の資源を見つめ直し、新たな価値を生み出す機会になるのです。

空き家活用の成功事例5選から学ぶ、地域活性化のヒント

ここからは、空き家活用の成功事例として、国内の5地域で自治体や民間企業によって実施されている取り組みを紹介します。

下の表は横方向にスワイプできます

取り組み地域概要
住まい千葉県
松戸市
空き家のサブリース・DIYリノベーションと居住者支援により、800人以上の移住・定住や事務所移転と約60軒以上の空き家・空き店舗活用を成功させた。
商業岡山県
倉敷市
経済産業省の補助金を活用して、長らく空き家になっていた老舗薬種問屋「林源十郎商店」のリニューアルを実施。現在は10店舗からなる複合施設として再生し、地域に根ざした新たなビジネスを生み出す拠点となり、観光客や地元住民など人の流れを生んだ。
交流徳島県
三好市
築100年以上の古民家を改修して地域交流拠点施設「真鍋屋」をオープン。食堂をはじめとする多様なスペースの運営や移住希望者の支援を行い、地域住民や観光客、移住者・移住希望者が交流する場を生み出した。
観光兵庫県
丹波篠山市
12軒中7軒が空き家だった集落で、住民のNPOと専門家集団が連携し、築150年以上の古民家を一棟貸しの宿「集落丸山」として再生。U/Iターンや耕作放棄地の解消など、観光にとどまらない集落再生を実現した。
長崎県
小値賀町
築100年以上の古民家を現代風にリノベーションして提供する「古民家ステイ」事業を推進。伝統的な景観を守りながら観光客増加や客層の拡大を実現した。

【住まいへの空き家活用】移住・定住の場をつくる

住宅が立ち並ぶ坂道。庭木や鉢植え、電線越しに山並みが見える

1.千葉県松戸市|空き家×クリエイティブで若者を集める「MAD City」

地域情報サイト「MAD City」のトップページ。物件情報や連載・コラム、イベント、これまでの拠点実績などのコンテンツが並んでいる

千葉県・松戸駅前のまちづくりプロジェクト「MAD City(マッドシティ)」の公式サイト

「MAD City」は、千葉県の松戸駅前を中心としたエリアで民間企業によって運営される、空き家の利活用とクリエイティブ活動を紐づけたまちづくりプロジェクトです。

地域に残る空き家を一括で借り上げて転貸する「サブリース」とDIYリノベーションを組み合わせた空き家活用に取り組むほか、入居者の活動サポートや事業開発支援も手がけています。また、関連団体の居住支援法人を通じた福祉的な住まい支援や、子育て中の女性の起業サポートなど、幅広い層への支援も行っています。こうした取り組みにより、クリエイター・アーティストをはじめとする延べ800人以上の移住・定住や事務所移転につなげ、約60軒以上の空き家・空き店舗の利活用を成立させています*6

<空き家活用の成功要因>

  • 空き家の再利用や居住希望者とのマッチングだけでなく、居住やその後の活動の支援まで一貫して手がけたこと

【商業への空き家活用】地域に根ざしたビジネスを発掘

商店街の通りを歩く人々と、沿道に並ぶ店舗

2.岡山県倉敷市|美観地区の蔵や古民家を再生した「林源十郎商店」

「林源十郎商店」のWebサイト。木製の建具が並ぶ店舗外観の写真が大きく掲載されている

「林源十郎商店」Webサイト

倉敷市では、長らく空き店舗・空き家になっていた老舗薬種問屋「林源十郎商店」を、経済産業省の戦略的中心市街地商業等活性化補助金を活用してリニューアルしました。

現在は、本館・母屋・離れ・蔵の四棟と庭からなる施設に「衣・食・住」にまつわる10店舗が入居*7。伝統文化の発信や、名産として知られるデニムや地元の食材を活かした商品の開発・販売などが行われ、観光客や地元住民で賑わっています。

<空き家活用の成功要因>

  • 地域生活文化を発信するコンセプトを掲げ、メーカーを誘致し魅力的なブランディングにつなげたこと
  • 専門家の視点を取り入れ(建築家・楢村徹氏による設計・タウンマネジメント、暮らしき編集部・辻信行氏によるコンセプトデザイン・テナントリーシング)、敷地内や周辺エリアとの回遊性を高めたこと

【交流への空き家活用】地域のコミュニティ拠点をつくる

木製のテーブルに並ぶコーヒーとケーキを囲んで、数人がカフェで過ごしている

3.徳島県三好市|空き家を活用し、地域の交流拠点となった「真鍋屋」

地域交流拠点「MINDE」のWebサイト。木々に囲まれた建物の写真に、「寄ってみんで 来てみんで 試してみんで やってみんで」の文字が重ねられている

三好市地域交流拠点施設 真鍋屋「MINDE」Webサイト

三好市は、かつてたばこ商家として栄えた真鍋屋の厚意により、築100年以上の歴史ある土地と家屋の寄付を受けました。市はこの古民家を改修し、地域交流拠点施設「真鍋屋(MINDE)」として新たにオープンさせました。

地域の名産・特産物を活かした食事が楽しめる食堂や、マルシェやコンサートが開催される中庭、コワーキングスペース、サークル活動や会議が行えるフリースペースなど、「食べる・学ぶ・働く」を通じた交流が楽しめる場として賑わっています。

<空き家活用の成功要因>

  • 起業希望者向けのお試しオフィスなど、多様な機能を備えた施設にしたこと
  • 地域住民や観光客、移住者・移住希望者など、多様な人々が集う場をつくり出したこと

【観光への空き家活用】地域外の人を呼び込む

山並みを望む観光地の通りに、瓦屋根の建物が並び、多くの観光客が行き交っている

4.兵庫県丹波篠山市|住民主体で空き家を再生した一棟貸しの宿「集落丸山」

山あいの集落に、田畑や道路、家屋が広がっている様子。周囲には緑豊かな山林が広がっている

「集落丸山」のWebサイト

兵庫県丹波篠山市の丸山集落は、12軒中7軒が空き家となっていました。2009年、住民が立ち上げたNPO法人集落丸山と一般社団法人ノオトが連携し、築150年以上の古民家を一棟貸しの宿「集落丸山」として再生・運営しています。

家主が空き家を10年間無償で貸し出し、ノオトが改修、集落丸山が運営を担い、収益で改修費を回収する仕組みを確立。これにより、家主は費用を負担することなく空き家を改修することができ、運営者・伴走者は事業収益を得られるという双方にメリットのあるモデルを実現しました。

宿泊客が訪れて集落に活気が戻るなかで、「何もない」と思っていた土地や環境の価値に地域の人々が気づき、地域外に住む家族などが農地を借りるといった新たな担い手も登場。耕作放棄地の解消やU/Iターン定住など、観光にとどまらない集落再生につながりました。

<空き家活用の成功要因>

  • 家主・運営者・伴走者のそれぞれにメリットが生まれる方式によって、空き家の改修と活用を持続可能な事業として成り立たせたこと
  • 空き家や耕作放棄地を「負の遺産」から「地域資源」へととらえ直したこと

5.長崎県小値賀町|古民家を宿泊施設に再生し、島の原風景を守る

「おぢか島旅」の古民家ステイ紹介ページ。緑を望む大きな窓がある古民家の室内に、椅子やテーブルが並ぶ写真が掲載されている

小値賀島の観光総合案内サイトの古民家ステイ紹介ページ

小値賀(おぢか)町では、空き家を宿泊施設として再生させる取り組みとして、築100年以上の古民家を現代風にリノベーションし、宿泊施設として提供する「古民家ステイ」事業を行っています。

伝統的な景観を守りながら新たな観光資源として活用することで、観光客の呼び込みにつなげています。

<空き家活用の成功要因>

  • まちづくりへの活用を望む町民から寄付された古民家を活かすなど、住民も一体となって施策を推進したこと
  • 古民家ステイ事業や一般民家へのホームステイ(民泊)事業がメディアから着目され、町の取り組みや魅力が広く知られるきっかけになったこと

空き家活用を地域で成功させるポイント

山の上から見渡す、緑に囲まれた海沿いの街と湾

成功事例をふまえ、空き家活用を成功させるポイントとして以下の点が挙げられます。

  • 情報提供と費用補助の両面から、所有者・利用希望者を支援すること
  • 空き家の再生・活用だけでなく、入居・移住後の改修や事業活動まで含めてサポートすること
  • 地域課題を、その地ならではの景観やストーリーなどの資源と結び付けること
  • 住宅利用に限定せず、多様な活用方法を検討すること
  • 外部プロフェッショナルの視点を取り入れたり、取り組みを地域外に発信したりすること
  • 国・自治体の支援制度を活用し、民間事業者や地域住民と連携した持続可能な体制を構築すること

【監修者コメント】地域の特徴を活かした空き家再生のヒント

米山秀隆さんのポートレート

米山

空き家の持つ潜在力を地域の特性に合わせて、どのように引き出すかが重要なポイントになります。そうした潜在力は、地域の人が気づかなくても、外部の視点によって発見される場合もあります。

その際、純粋なビジネスとして成立させるには一定の収益性が求められます。一方、行政が関連する取り組みでは、補助金を活用するほか、ふるさと納税制度を活用したガバメントクラウドファンディングなどによって地域外から共感にもとづく支援を集める方法もあります。こうした仕組みを組み合わせることで、収益性だけでは成立しにくい空き家活用を、持続可能なかたちに近づけられる場合があります。

そして、ひとつの取り組みがきっかけとなって次の需要を生み、連鎖的な活用を生む場合もあります。空き家の価値に気づいた人々の知見と、それを支える資金をどう組み合わせるか。その方法にはさまざまなパターンがあり、ときには偶然から新たな展開が生まれる場合もあるのが、空き家活用の面白いところだといえます。

空き家活用を後押しする、国・自治体の支援制度と補助金

空き家活用を進めるにあたっては、プラットフォームや支援制度、補助金など、国・自治体や非営利法人が提供するさまざまなリソースを活用できます。ここでは、以下4つの概要を紹介します。

  • 【情報収集】ミスマッチを防ぐ「空き家バンク」
  • 【売却・譲渡】手放す際の「手残り」を増やす税制優遇
  • 【改修・リフォーム】建物を再利用したいときの補助金
  • 【除却・解体】危険な空き家を更地にするときの支援

※なお、制度内容は自治体や年度によって異なります。利用を検討される際は、必ず実施主体のホームページなどで最新情報をご確認ください。

【情報収集】ミスマッチを防ぐ「空き家バンク」

「全国版空き家・空き地バンク」は、各地域の空き家情報を取りまとめ、自治体横断で検索できるようにした公的マッチングサイトです*8。各自治体が独自に空き家バンクの設置を進めるなか、利用希望者にとって地域を横断した情報の収集・比較がしづらい仕組みとなっていたことをふまえ、需要と供給のミスマッチを防ぐために「全国版」として情報が一元化されました。

2026年5月末時点で1,144の自治体が「全国版空き家・空き地バンク」に参加しており、成約に至った物件数は約25,600件におよびます*9

独自の空き家バンクを設けていない自治体も含め、すべての地方公共団体が参加可能で、参加料・利用料や手数料はかかりません。物件情報のほか、地域の特色や支援制度など自治体ごとの情報の掲載も行うことができ、空き家活用を後押しする情報の発信に役立てられます。

【売却・譲渡】手放す際の「手残り」を増やす税制優遇

物件の譲渡を後押しし、空き家の発生を防ぐための特例措置として、「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」があります*10。家屋やその敷地を相続した人が、一定の期間内にこれらを譲渡(売却・交換など)した場合に、譲渡によって得た「譲渡所得」から3,000万円が控除される制度です。

この特例措置を活用することで、譲渡所得に対してかかる税金の負担を軽減できます。その結果、所有者が物件を売り出しやすくなり、移住者や事業者といった新たな利用者へのスムーズな引き継ぎにつながります。

適用期間は、当初2023年中とされていたものが延長され、2027年12月31日までとなっています(2026年7月時点)。

【改修・リフォーム】建物を再利用したいときの補助金

空き家の再利用に向けた改修やリフォームを後押しする仕組みのひとつとして、「住宅セーフティネット制度」における登録住宅への支援が挙げられます*11 *12

住宅セーフティネット制度は、住宅確保要配慮者(低所得者や子育て世帯など)への住まいの提供を促進することを目的とした制度です。

住宅確保要配慮者の住まいとして活用することを前提として、空き家の改修費について国から補助が受けられるほか、住宅金融支援機構から融資を受けることも可能です*13

このほか、住宅の改修を支援する制度として、断熱改修や高効率設備の導入を幅広く支援する「住宅省エネ2026キャンペーン」や、省エネ性能を高める「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」なども実施されています*14

【除却・解体】危険な空き家を更地にするときの支援

倒壊の可能性が高いなど危険な状態にある空き家について、解体・撤去して更地に戻すことを支援する仕組みを設けている自治体もあります。ここでは、東京都による事業と市区町村による費用補助の例を紹介します。

  • 「東京都空き家家財整理・解体促進事業」
    →都内にある空き家の解体にかかる費用について、2分の1にあたる額(上限100,000円)を補助金として交付する*15
  • 自治体による老朽危険空家除却費用の助成制度
    →要件を満たす「老朽危険空家」や「不良住宅」などの除却費用について、一定額の助成を行う(例:杉並区では、除却工事費の80%または150万円のうち低い額)*16 *17

これらの制度を活かして老朽化した建物を解体することは、単なる空き家の解消にとどまりません。更地に戻すことで、地域の広場やコミュニティ店舗の建設など、新たな土地活用への重要な一歩となります。

まとめ|空き家活用は地域の魅力づくりと活性化につながる

超高齢社会を迎え、今後も空き家問題や地域社会の過疎化が深刻さを増していくと考えられる日本。これからは、成功事例をふまえた多様な空き家活用の取り組みが進むこと、その取り組みが空き家問題の解消だけではなく、地域の魅力づくりや活性化に貢献していくことが期待されます。

この記事の内容は2026年7月7日掲載時のものです。

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Credits

執筆
永田遥奈
編集
山口倫知(エクスライト)、牧之瀬裕加、包國文朗(CINRA,Inc.)

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