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閉店寸前のスーパーが地域の憩いの場に。漫画家・増田薫と探るスーパー「エンドー」の正体

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スーパー「エンドー」の店内写真を背景に、げそ天を食べている漫画家・増田薫さんと「エンドー」店主・遠藤さんのマンガイラス

かつては大型店の台頭により閉店危機に直面。その窮地を救ったのは、山形の保存食・イカから生まれた看板商品「げそ天」と、地元デザイナーと二人三脚で挑んだ大胆なスーパー改革だった——。

山形県山形市にある地域密着型スーパー「エンドー」。店内には生鮮食品や日用品に加えてステッカーなどのオリジナルグッズが並び、店内に設けられたイートインスペースでは、名物の「げそ天」や手打ちそばとともに、昼間からお酒を楽しむ人の姿も見られます。

全国から客が訪れる大人気店となったいまでも、地元のおばあちゃんたちが愛用する調味料や日用品を並べた「地元のおばあちゃんゾーン」を残し、地域との絆を何よりも大切にする3代目店主の遠藤英則さん。若者からお年寄りまでが同じ空間で共存する「カオスで平和な日常」を生み出しました。

今回は、ソウルバンド「思い出野郎Aチーム」のサックス担当であり、『いつか中華屋でチャーハンを』などのグルメエッセイ漫画も手掛ける漫画家・イラストレーターの増田薫さんとともに、唯一無二のローカルスーパー「エンドー」の軌跡と魅力に迫ります。

道の駅でも居酒屋でもない。「なんでもある」が人を呼ぶ、山形の不思議なスーパー

ローカルスーパー・エンドーを現地取材するマンガ 1コマ目:増田さんがエンドーの店舗を見ながら「ついたついた」と話す。 2コマ目:増田さんが「おれご当地スーパー大好きなんですよ。そこでしか売ってない調味料とか。楽しみだなあ」とライターの榎並さん、編集者の服部さんに語りかける。 3コマ目:げそ天と筋子のキャラの顔出しパネルの前で「ここはげそ天が有名なんですよ」と話す服部さんに、増田さんが「言ってましたね」と答える。 4コマ目:増田さんが自動ドアを通りながら「いうてもげそ天以外にもいろいろあるでしょ」と話す。
ローカルスーパー・エンドーを現地取材するマンガ 1コマ目:店内を見て増田さんが「なんじゃこりゃ」と驚く。 2コマ目:「ほとんど惣菜売り場とイートインスペースだ。奥の方にギリギリスーパーの面影っぽいものがあるけど…」と驚く増田さん。 3コマ目:「道の駅?」と話す増田さんに服部さんが「あーたしかに」と答える。 4コマ目:増田さん商品棚に並ぶオリジナルキャラクター・げそ男と筋子のグッズを見ながら「そしてここまでげそ天に振り切っていたとは。なんか思ってたスーパーとかなり違うぞ…」と話す。
ローカルスーパー・エンドーを現地取材するマンガ 1コマ目:「取材の方ですか」と話す人影が現れ「あっ」と反応する増田さん。 2コマ目:「こちら遠藤さんです」と紹介する服部さんと、「よろしくおねがいします」と挨拶する「エンドー」3代目店主の遠藤さん 3コマ目:「どうします?まず食事と撮影されますか」と聞く遠藤さんに、「そうしましょう」と答える増田さん。 4コマ目:「何も食べてないからマジで腹ペコです」と話す増田さん。

店内には鮮魚や惣菜にはじまり、オリジナルラベルのお酒や独自キャラクターのグッズがずらり。イートインスペースでは、げそ天をはじめ、手打ちのそば、筋子を使ったおにぎりや丼など、名物料理を提供しています。道の駅のようでもあり、カフェや居酒屋のようでもあり……エンドーに一歩足を踏み入れると、不思議な空間が広がっています。

遠藤

昔はこんなんじゃなかったんですけどね。いまとは違い、入り口から野菜、魚、肉、食料品が並んでいる、いわゆる普通のスーパーマーケットでした。でも、大型量販店ができると、お客さんはやはり安いほうへ流れてしまう。仕入れ力では勝てず、厳しい経営状況に追い込まれた時期もありました。

スーパーのなかで座って話す店主

スーパー「エンドー」3代目店主
遠藤英則さん

エンドーの店内。奥に立つ遠藤さんと、手前には2代目店主

奥は調理場となっており、名物であるゲソ天や総菜、そばなどを手づくりしている

現在の来客は、県外が4割、地元が6割ほど。土日はさらに県外から来る人が増えると語ります。

遠藤

休日は県外の方が7割になることもありますね。イートインスペースは朝の開店から午後1時くらいまで、ずっと飲んでいる方もいます(笑)。

以前、北海道からわざわざお越しくださったお客さんは「ここで飲みたくて来ました」とおっしゃっていました。どちらかというと、県外から来た若い女性やカップルのお客さんは昼間に、地元の方は混雑を避けて夕方以降にいらっしゃることが多いです。

イートインスペースで使われている机や椅子は、店主の遠藤さんの実家で勉強机として使っていたものを再利用している

遠藤

惣菜は、地元の昔ながらのラインナップやつくり方を受け継いでいます。めずらしいものでいえば、「ひょう(スベリヒユ)」という野草の煮物。一度乾燥させてから水で戻して煮るという昔からの保存食ですが、いまでは売っているスーパーも減り、地元でも若い人はあまり食べたことがないと思います。

そばも店内で手打ちしており、そば粉10に対して小麦粉1を混ぜた「十一(といち)そば」を提供しています。山形で主流の、少し太めの田舎そばです。かえしや出汁も手づくりで、加熱処理されていない生醤油を使い、ギリギリの温度で香りを飛ばさないようにつくっています。

げそ天とざるそばのセット

エンドーで手打ちしている十一そばとげそ天がセットになった「げそば」。麺は太めでもちもちとした食感が特徴

ローカルスーパー・エンドーを現地取材するマンガ 1コマ目:そばを箸で持ち上げて「えっ手打ち?ここで?」と驚く増田さんと「山形ってどこでも手打ちが当たり前なんですよ」と笑顔で答える増田さん。 2コマ目:そばを食べながら「かえしも出汁もすごくおいしいんですけどなんかしてますかこれは」と聞くライターの榎並さん。 3コマ目:「地元の醤油屋さんの醤油を使ってて出汁は三種類くらい昆布とか鰹節とかでやって出してて」と解説する遠藤さんと、「スーパーのこだわりの域、超えてる」と語る増田さん。
筋子の丼、味噌汁、げそ天と、小鉢が4つお盆の上に乗っている

特上の筋子を使った「筋子めし」

ローカルスーパー・エンドーを現地取材するマンガ 「筋子うんめっ。こんなに鮮やかな筋子見たことないっすよ。めしが止まらんぜよ」と話す増田さん。

そばや筋子のおいしさに驚きを隠せない増田さん。遠藤さんは、山形の食文化についてこう語ります。

遠藤

山形は一年を通じて、おいしいものが途切れない土地です。そばや果物、お肉、魚介類、山菜、きのこ。また、季節ごとに食べ方のバリエーションも豊富です。たとえば、冬は山菜などを塩漬けにした保存食や、極寒の時期に捕れる寒ダラを使った「どんがら汁」が名物。食に関して、山形はどこに行っても、いつ訪れても「外れがない」県だと思います。

食品トレーに入ったお惣菜が並ぶ

地元の食材を使ったお惣菜がずらり

つぶ貝や金目鯛などの生鮮食品

貝や魚などの生鮮食品も。かつては惣菜のみを扱っていたが、流通が発達し生鮮食品も並べるようになったという

「あと10年でこのおばあちゃんたちは来られなくなる」。危機感が生んだ看板商品

芋煮やメヒカリの唐揚げ、山菜の煮物など、さまざまなお惣菜を提供していますが、なかでも一番の名物といえば「げそ天」。誕生するきっかけとなったのは、お店の苦しい経営状況と地域のおばあちゃんたちへの想い……そして「逆転の発想」でした。

遠藤

先ほどもお話ししたとおり、この店は近隣に大型量販店ができた影響から、一時期かなり苦しい状況でした。スーパー経営を学ぶため、私は群馬のスーパーや東京の飲食店で勤務し経験を積んだのですが、それを経て店に戻って来た2010年前後はほとんどお客さんが来ず、本当にヒマで……。親も店を閉めるかどうか、悩んでいました。

ローカルスーパー・エンドーを現地取材するマンガ 1コマ目:「それでどうやってお店は経営できてたんですか」と聞く増田さん。 2コマ目:「学校給食とかに食材を納品してたんですよ」と答える遠藤さんと、「このへんの問屋でもあったのか」と話す増田さん。
モノクロ写真が収納されたアルバム

先代の頃に撮影されたアルバム。かつての山形などの様子が見られる

遠藤

それでも当時、この店を必要としてくれていたのが、地元のおばあちゃんたちです。私も時間があったので、70代から90代のおばあちゃんたちをご自宅までお迎えに行き、店で買い物をしてもらっていました。

ローカルスーパー・エンドーを現地取材するマンガ 遠藤さんが地元のおばあちゃんの買い物やお迎えを手伝う様子

遠藤

買い物が終わったおばあちゃんたちには店で提供するお惣菜用のインゲンの筋取りや、玉ねぎの皮剥きなどのお手伝いをしていただき、お礼におにぎりを食べてもらう。

そんなことをしながら何とか耐えていたのですが、さすがにこのままではまずいだろうと。あと10年もすれば、このおばあちゃんたちは確実に店に来られなくなる。その前に、お客さんを呼べる看板商品をつくらなければと思いました。それが、げそ天です。

味の違うげそ天が3つ並んでいる

看板商品のげそ天たち。手前から、紅生姜味の「ピンク」、「塩レモン」、イカスミで黒く染まった衣にトリュフ塩で隠し味をつけた「ブラック」

ローカルスーパー・エンドーを現地取材するマンガ 1コマ目:げそ天を食べて「ウマーイ。げそがめっちゃ柔らかい」と喜ぶ増田さん。 2コマ目:「塩レモン、一番人気なだけあるなあ」と話す榎並さんと、「ブラックはイカスミの香りがすごいですよ」と話す服部さん。 3コマ目:「紅生姜は酒が欲しすぎる…」と震える増田さんに、「耐えてください」と話す服部さん。

遠藤

最初は唐揚げやだし巻き卵などもつくってみましたが、これだという手応えは得られませんでした。あるとき、ふと冷凍庫を見たら、大量のげそがあって。揚げる設備もあるし、「げそ天ならいけるかもしれない」と思い立ったんです。

微笑む遠藤さん

遠藤

山形では、げそ天は唐揚げと同列のポジション。季節を問わず、おつまみにもおかずにも、そばのお供にもなるソウルフードです。2018年からげそ天を看板商品に据え、「塩レモン」「カレー」「チーズ」「ピリ辛」などの珍しいフレーバーを揃えたところ、ラジオや新聞で紹介され少しずつ認知されるようになりました。

遠藤

いまのように冷蔵設備がなかった時代、新鮮な海産物を食べることが難しかった内陸部では、スルメや筋子のような保存食が重宝されていました。塩漬けや乾燥させたスルメを内陸に運び、それを水で戻して天ぷらにする。当時は米が高級だったこともあり、より手に入りやすいそばとともに食べられてきたことで、げそ天は地域の食文化のなかに根づいていったといわれています。

山形では「げそば」と呼ばれ、そばと一緒に楽しまれる文化も残っています。筋子も同様に、保存性の高さから日常的に食べられてきた食材で、いずれも山形の食文化を語るうえで欠かせない存在です。

ローカルスーパー・エンドーを現地取材するマンガ 1コマ目:山形に筋子やげそが伝わる様子のイメージ図と、「それでげそ天も筋子も名物なんだ」と語る増田さん。 2コマ目:「それにしても胴はどこに行ってるんだろう」とイカのゲソ以外の部分について考える増田さん。

※イカの消費量:「家計調査」における山形市の品目別消費ランキング(1世帯あたりの品目別年間支出金額、令和5年~7年平均)より

「おいしいものづくりに専念してください」。信頼から生まれた、二人三脚の大改革

エンドーといえば、スーパーらしからぬロゴをあしらった包装や袋、オリジナルキャラクターを施したグッズを販売しているのも、特徴のひとつです。こうした取り組みはどのようにはじまったのでしょうか。

遠藤

げそ天をはじめた当初は、商品の魅力だけでそこそこ話題になっていました。1年ほど経った頃に、店の包装紙がなくなったので新しくつくろうと思い、行きつけの美容室の素敵なショップカードを手掛けていたデザイナーさんを紹介してもらったんです。それが、山形市にある「杉の下意匠室(すぎのしたいしょうしつ)」の鈴木敏志さんでした。

そのとき、鈴木さんに「包装紙は市販のものでいいから、先にげそ天に限らずお店の魅力を伝えましょう」と提案されました。そこからお店全体の再デザインがスタートしましたね。

げそ天の写真が額縁に飾られている

「天」の文字がデザインされたオリジナルの袋

「ゲソHOP」と書かれた瓶ビールが並ぶ

エンドーオリジナルのクラフトビール「ゲソHOP」。げそ天と合う味につくられているという

エンドーオリジナルのステッカー。オリジナルキャラクターの「げそ男」と「筋子」などが描かれている

遠藤

鈴木さんからは「まず、お店を片づけましょう」と言われました(笑)。いらないものを捨てて、視界を遮っていた棚や目隠しをなくすなど改装して、誰でも入りやすいフラットな店構えに変えていったんです。

ローカルスーパー・エンドーを現地取材するマンガ 「昔は床にタイルが敷いてあったんですけど段差があるとおばあちゃんたちがつまずいて危ないので全部剥がして…」と説明する遠藤さんと、下地がそのままになっている床を見て「あっこれおしゃれとかじゃなかったんだ」と話す増田さん。

遠藤

その後、一度見たら忘れられないイカのキャラクター「げそ男」や、ファストフード店のポテトのようにげそ天を片手で持って食べられるポップなパッケージ、ポイントカードやホームページなどの制作、Instagramの運用など、鈴木さんたちに勧められるままいろんなことをやるようになりました。

増田薫さんの自画像

増田

鈴木さんたちがアヤシイ人じゃなくてよかった……!

遠藤

でも、不安はまったくなかったですよ。彼らは的を射たことしか言わないので。

それに、「遠藤さんはおいしいものをつくることに専念してください。それ以外はわれわれがやります」と言われ、役割分担が明確になったのもよかった。デザイナーさんからの提案は、いつも「一択」なんです。何十通りもシミュレーションしたうえで、絶対に間違いないものをひとつだけ持ってくる。だから私は「やる」か「やらない」かを選ぶだけなんです(笑)。

微笑む遠藤さん

遠藤

デザイナーのお一人は近所に住んでいて、お子さんが毎日店の前を通るんです。「自分が手がけた仕事を子どもが毎日見るのだから、絶対に失敗できない」とおっしゃってくれて、本当に信頼しています。

エンドーの店先。のぼり旗や顔はめパネルが置かれている

「もともとは別のものを発注したんですが、なぜか顔はめパネルを提案されて。面白いからOKを出しました」と遠藤さん

売上より恩返し。「地元のおばあちゃんゾーン」を残し続ける理由

盛況すぎるイートインスペースやオリジナルグッズの販売。もはやスーパーではないのでは? と思いきや、カレーのルーや調味料、その他日用品など、一般的なスーパーでも見かける商品を揃えた棚も置かれています。「そこは、大事にしていることのひとつです」と遠藤さんは話します。

遠藤

たとえばスパイスや調味料ひとつとっても、地元のおばあちゃんたちは新しいものに馴染みがなく、いつもの商品を買うんです。だから、使い慣れたものを残す「地元のおばあちゃんゾーン」は絶対に必要。

惣菜に関しても、あえて奇をてらった調味料ではなく、地元で手に入る味噌や醤油を使っています。それが結果的に「山形の味」として、県外の方にもおいしいと評価されるんです。

「地元のおばあちゃんゾーン」。カレールーなど、馴染み深い食材が並ぶ

遠藤

正直、売上だけで見ればこうした商品を扱わなくてもやっていけると思います。ただ、ローカルスーパーにとって、地元とのつながりは欠かせないもの。まだ私が跡を継ぐ前、店の経営が厳しかった頃、3日間だけ営業をやめたことがあったそうですが、近所の人から「なぜ?」と問い合わせが殺到したと先代から聞きました。入口が閉まっているから、勝手口から入ってきた人もいたとか(笑)。

必要とされていることを実感し、すぐに再開した過去の経験もあって、地元の人たちをないがしろにはできないなと感じます。

地元の人から愛され、必要とされているエンドー。「スーパー」の領域を超えたその取り組みは、最近では夏祭りの開催にまで広がっているといいます。

テントの前に赤い提灯が並び、げそ天と書かれたのぼりが立っている

エンドーの夏祭り「エンドー夜市」の様子。午後から夜にかけて開催される(写真提供:エンドー)

遠藤

コロナ禍で近所の盆踊りがなくなってしまったのをきっかけに、「エンドーでやろう」とはじめました。2026年で5回目になりますが、毎年ざっと1,000〜2,000人くらい集まります。

小学校のマーチングバンドが演奏したり、仙台の「すずめ踊り」を披露したり。スーパーの前の通りに出店もたくさん出て、すごくにぎわいますね。人が多すぎてパトカーが様子を見に来るくらい。

ローカルスーパー・エンドーを現地取材するマンガ 1コマ目:「スーパーだから酒はもちろんつまみは惣菜やゲソ天もあるし絶対楽しいだろうな!」と夏祭りを想像する増田さん。 2コマ目:「祭り会場前の道路を見ながら「本当はここ封鎖して道でも飲めるようにできたらいいんですけど…」と話す遠藤さん。 3コマ目:「救急車がよく通る道なので難しいんですよね」と話す遠藤さんに、「そういう配慮するのは大事ですよね」と答える増田さん。

遠藤

正直、準備は大変です。店を営業しながら、何か月も前からいろんな調整や手配、打ち合わせをしないといけない。でも、気づいたら周りが動き出していて(笑)。

地域で唯一の夏祭りとして楽しみにしてくださっている人も多いし、出店者も祭りが終わった瞬間から「来年はどうしましょう?」と当たり前に言うんです。もうやめるにやめられなくなっていますね。

笑顔でインタビューに答える遠藤さん
微笑む遠藤さん

遠藤

夜に開催している理由は、夜の方が来やすいし、お酒も飲めるからです。山形の夏は暑いので、昼間にやると正直キツい。店の前の道は封鎖できませんから、駐車場にステージをつくって、できる限りの空間を使っています。将来的にはもっと規模を広げていきたいですね。

何でもやれるスーパーは「最強」。若者からお年寄りまで集うカオスで平和な日常

ひっきりなしにやってくるお客さんに対し、遠藤さんをはじめ、スタッフが生き生きと接客をしています。採用についても、「エンドーならでは」の方法で行っているのだとか。

遠藤

実はお客さんとして来てくれた方に「働きませんか?」と声をかけて採用することが多いんです。エンドーに何度も足を運んでくれている人なら、うちの雰囲気や味への理解も早い。ただ、地元の味の「やわらかさ」や「塩梅」を体で覚えてもらうまでには、それなりに時間がかかりますね。

お客さんと話す遠藤さん

取材中もひっきりなしにやってくるお客さん。遠藤さんは都度席を立ち、接客していた

遠藤

スタッフにしても、お店の雰囲気にしても、「エンドーらしさ」を大事にしたいと思っていて。駅ビルなどから支店を出店してみないかとお誘いを受けることもありますが、いまはお断りしています。味がブレてしまうリスクもありますし、「この空間、この雰囲気で食べるからおいしい」とおっしゃってくれるお客さんも多い。ここは山形駅からも近いので、できれば店まで足を運んでほしいと思っています。

拡大路線は考えていませんが、一方でこの店を続けていくために、飽きられない努力はし続けないといけない。毎年何かしら新しいことにチャレンジして、「変わらずにあり続ける」ために、変わり続けたいと思っています。

注文スペース。横には無数の紙が貼られている

「エンドーの宅呑みセット」のメニュー詳細が描かれた紙がずらり。エンドーでは家で晩酌を楽しむ用のセットも時折提供している

なぜエンドーに人が集まるのか。それは、遠藤さんが訪れるお客さんのことを第一に考えたお店づくりをしているからなのかもしれません。最後に遠藤さんに、これからのエンドーについて思うことを聞きました。

遠藤

私は個人的に「スーパー最強説」を唱えています(笑)。だって、スーパーに置いてはいけないものなんてないんですよ。惣菜もつくれる、お酒も販売できる、飲食店の許可を取ればイートインもできるし、居酒屋にもなれる。「何でもやれる」強さがあります。とはいえ、大手のスーパーと同じことをしていては埋もれてしまう。だからこそ「看板商品(げそ天)」が必要だったんです。

いまのエンドーは、この「スーパー最強説」を体現できていると思います。やんちゃな若者たちが飲んでいる横で、親子連れがげそ天を食べ、地元のおばあちゃんが定番商品を買っていく。全国チェーンのコンビニや駅前の居酒屋では決して生まれない、地域密着型スーパーならではのカオスで平和な景色を、これからも守っていきたいです。

ローカルスーパー・エンドーを現地取材するマンガ 1コマ目:「なるほどスーパー最強説ね…」と呟く増田さん。 2コマ目:「それってつまり全国にエンドーのようになり得るポテンシャルを持ったスーパーがあるってこと??ローカルスーパー…恐ろしい子!!!!」と驚く増田さん。

この記事の内容は2026年7月16日掲載時のものです。

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Credits

取材・執筆
榎並紀行(やじろべえ)
写真
志鎌康平
編集
服部桃子(CINRA, Inc.)
イラスト
増田薫
提供画像
エンドー

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