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関係人口とは?定義・背景から自治体の成功事例、創出のポイントまで徹底解説
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関係人口とは、地域への関心を深め、定住でも一時的な観光でもない多様なかたちで、地域や地域の人々と継続的なかかわりを持つ人を指す言葉です*¹*²。人口減少や高齢化が進むなか、外部から地域づくりに参加する新たな担い手として注目されています。
本記事では、関係人口の定義・種類、観光人口や定住人口との違いといった基礎知識を解説。さらに、地方創生において関係人口の創出・拡大がめざされる背景や、増やすためのポイントを全国各地の成功事例とあわせて紹介します。
関係人口とは? 定義や基礎知識をおさらい
まずは、関係人口の定義と定住人口・観光人口との違いを簡単に解説します。
「観光以上、移住未満」の第3の人口
活力ある日本社会の維持に向けた政府の基本方針を示す「まち・ひと・しごと創生総合戦略」によると、関係人口とは「特定の地域に継続的に多様なかたちでかかわる人」を指します*3 *4。
これまで、地域とのかかわり方は「その地に暮らす」か「観光などで訪れる」かの2つでとらえられていました。ここに「地域の外部から継続的にかかわる」という新たな概念が加わったものが関係人口です。その性質から、観光以上、移住未満の第3の人口と表現されることもあります*5。
持続可能な地域社会の実現に向けて、この関係人口の創出・拡大が重要な鍵になると注目されています。
定住人口・観光人口との違い
「観光以上、移住未満」という表現は、関係人口と関連する指標である定住人口・観光人口との違いをよく表しています。
これら3つの指標の違いは、地域とのかかわり方の深度にあります。それぞれの概要は以下のとおりです。
内閣官房「生涯活躍のまちづくりに関するガイドライン」の図をもとに作成
- 観光人口:観光を目的として、その地域を一時的に訪れた人
- 関係人口:その地域に継続的に多様なかたちでかかわる人
- 定住人口(または居住人口):移住者も含む、その地域に生活の拠点を構えて暮らす人
関係人口にはどんな人がいる? 具体的なかかわり方の種類
「関係人口」は、政府の定義に見られるように地域とのかかわり方が多様であることを特徴としており、その関係のあり方が今後さらに多様化することも考えられます。
ここでは、現時点で見られる関係人口と地域との主なかかわり方を、以下3つの分類に沿って紹介します。
- 訪問系関係人口
- 非訪問系関係人口
- ルーツ系関係人口
訪問系関係人口
実際に足を運んで継続的に地域とのかかわりを持つ人たちは、訪問系関係人口に分類されます。
- ボランティアとして地域活動(防犯・防災や清掃など)に参加し地域に貢献する
- 年に複数回、現地を訪れて祭りや地域の伝統行事などに参加する
- 体験プログラムに参加して地域での暮らしや仕事に身を投じる
- リモートワーク制度やサテライトオフィスを活用し、地域に滞在しながら仕事と余暇を両立するワーケーションを行う
- 都市部の企業に勤めながら、地域の企業や自治体での複業・副業を通じて地域とかかわる
- 芸術家やクリエイターが作品制作や展示のたびに地域を訪れ、文化的なアプローチで地域を活性化する
- 都市部で暮らしつつ、定期的に地域に滞在する二拠点生活を通じて地域とつながりを持つ
非訪問系関係人口
非訪問系関係人口に分類されるのは、オンラインなど現地を訪れないかたちで地域と継続的にかかわる人たちです。
- クラウドファンディングを通じて地域課題の解決を支援する
- オンラインで特産品を定期的に購入する
- ふるさと納税やふるさとオーナー制度(寄付した自治体の田畑や果樹のオーナーとなり、収穫物の受け取りなどの権利を得られる仕組み)を通じて、寄付や特産品の受け取りを行う
- 複業・副業として、地元企業の仕事を地域外からのリモートワークで請け負う など
ルーツ系関係人口
ルーツ系関係人口に該当するのは、関係人口のうち地域内にルーツを持つものの現在はその地で暮らしていない人たちです。
- 実家や親戚の家がある地域に愛着を持ち、離れて暮らすようになってからも、訪問や寄付、SNSでの地域の魅力発信などを通じてかかわる
- 過去に転勤や移住、学生生活などで暮らした地域にいまも愛着や思い入れを持ち、定期的な訪問のほか、伝統行事や地域の活動などの情報にも継続的に関心を寄せている
「実家や親戚の家がある」「過去に一定期間暮らしていた / 働いていたことがある」といった血縁・地縁から生まれる愛着や思い入れを持ちながらその地にかかわる人を指します。
訪問系・非訪問系の関係人口と同列の分類ではなく、ルーツ系関係人口のなかでも、かかわり方の違いによって訪問系・非訪問系にわけられます。
関係人口が地方創生において注目される3つの理由
関係人口が地方創生において注目される理由として、以下の3つが挙げられます。
- 人口減少・高齢化による「地域づくりの担い手不足」の解消
- 「人口の奪い合い」から「人口のシェア」への価値観の転換
- リモートワーク・複業・ワーケーションなど働き方・暮らし方の多様化
1. 人口減少・高齢化による「地域づくりの担い手不足」の解消
人口減少や高齢化の進行を背景に、住民の生活を支えたりコミュニティの活力を維持したりする「担い手」の不足が、地方の地域社会において大きな課題となっています*6。
課題解決や活性化に地域外から貢献する関係人口を増やす、つまり外部の人々にも地域づくりの担い手として活躍してもらうことが、持続可能な地域社会を実現するうえで重要になっています。
2. 「人口の奪い合い」から「人口のシェア」への価値観の転換
地域づくりの担い手不足は地方部に共通する課題です。移住を促進する考え方のみでは、各地域が人口を奪い合う構図になってしまう恐れもあります。
関係人口を創出・拡大する(=地域内外の行き来・接触を促して関係を深める)という考え方であれば、居住のみに限らない多様なかかわり方が許容されるため、一人の人が複数の地域と関係を築くことも可能に。つまり、各自治体が担い手をシェアする構図を実現できます。
3. リモートワーク・複業・ワーケーションなど働き方・暮らし方の多様化
テクノロジーの発展や新型コロナウイルスの感染拡大、日本における雇用のあり方が従来の「日本型雇用モデル」から変化したことなど、さまざまな要因を背景に、リモートワークの普及やフリーランスの増加、複業・副業の普及など、働き方の多様化が進んでいます。都市部以外の地を訪れたりかかわったりすることのハードルは、下がってきているといえるでしょう。
さらに、QOL(生活の質)・ワークライフバランスの重視や、人口の一極集中が進むなか、あらためて地域の魅力が注目されるようになり、ワーケーションの浸透や、複数拠点生活といった多様な暮らし方への関心も高まっています。こうした要因により、関係人口が増えやすい環境が徐々に整いつつあると考えられます。
【監修者コメント】「かかわる」という選択肢が可能性を広げる?

小田切
「観光以上、移住未満」と表現される関係人口は、別の言い方をすれば、「住民」を「住む」ことではなく、そこに「かかわる」という行為でとらえようとする新しい考え方です。これにより、地域には見えない多くの仲間がいることがわかります。しかも、そのかかわり方は実に多様です。地域に心を寄せるだけの人から、他地域と行き来しながら二拠点居住をしている人まで幅広く、このような人々と地域の協働の可能性も見えてきます。
こうした関係人口は、人口減少の時代、そしてライフスタイルの多様化の時代に必然的に生まれたものです。そう考えると、一時的な流行ではなく、地方創生の中心に位置づく重要なコンセプトだといえます。
地域が関係人口を創出・拡大するメリット
地域が関係人口の創出・拡大に取り組むメリットとして、以下の3点を解説します。
- 外部の知見やアイデアによる地域課題の解決・新規事業の創出
- 継続的な交流による地域社会・経済の活性化
- 将来的に「移住・定住」へつながる可能性も
外部の知見やアイデアによる地域課題の解決・新規事業の創出
関係人口が増えることで、地域の外から新しい考え方や技術が持ち込まれ、地元住民では気がつかなかった地域の魅力をもとに新たなアイデアが生まれる可能性があります。その結果、外部の視点を交えながら、これまでとは異なる角度から課題をとらえ直したり、新たな事業の芽を育んだりできるようになることが期待されます。
継続的な交流による地域社会・経済の活性化
関係人口との交流を通じて地域住民が刺激を受けたり、地元への愛着や誇りが育まれたり、イベントなどの地域活動が盛り上がったりと、地域社会が活気を増すこともメリットのひとつです。
さらに、定期的に足を運び、滞在する人が増えることで、観光業や飲食・宿泊業などに継続的な需要が生まれます。また、特産品への支援を通じたかかわりは、農業や漁業をはじめとしたさまざまな産業の支えとなり、地域経済の活性化につながります。
将来的に「移住・定住」へつながる可能性も
関係人口が継続的に地域とのかかわりを持つなかで、その地域の暮らしや人・文化を深く知り、より魅力を感じるようになる人もいます。そうした経験を通じて貢献意識が高まることは、将来的な移住・定住のきっかけにもなり得ます。時間をかけて地域との信頼関係を築くことで、移住・定住に伴う不安が和らぎ、暮らし方を無理なく変えることができます。
関係人口を増やしている事例8選
ここからは、関係人口の創出・拡大の成功事例を8つ取り上げて紹介します。
訪問系関係人口を増やしている事例
1. 岐阜県飛騨市|「推し地域」が広がる、会員数約18,000人のファンクラブ
飛騨市ファンクラブの会員証[画像提供:飛騨市ファンクラブ]
人口約21,000人*8の飛騨市が2017年に立ち上げたのが、「飛騨市ファンクラブ」。「人口を増やす」ではなく「ファンを増やす」という発想の転換から生まれた取り組みで、2026年4月時点で会員数は約18,000人に達し*9、市の人口に迫る規模にまで広がっています。
会員は飛騨圏域内在住の「ふるさと会員」と圏域外在住の「レギュラー会員」にわかれ、入会費・会費はいずれも無料。会員証提示による特典のほか、会員同士の交流イベント「集い」や、メンバーが主導する部活動など、多様な接点が用意されています。
さらに、2020年からは派生プロジェクトとして「ヒダスケ!」を展開。地域住民の困りごとやアイデアを「プログラム」として募り、それを一緒に解決・実現したい参加者をマッチングする仕組みで、農作業の手伝いから地域行事の運営補助まで多岐にわたります。
会員と地域住民がともに地域の課題に向き合うことで、外から訪れる人を歓迎する空気が地域に醸成され、関係人口を起点とした「地域の活力創出」が実現されつつあります。
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2. 岩手県遠野市|民話の語り部を受け継ぐ、地域の「無形資産」
遠野市立博物館 学芸員の前川さおりさん(写真左)と、遠野昔話語り部の会 会長であり、語り部の細越澤史子さん[撮影:三輪卓護]
遠野市は、民俗学者・柳田國男が記した『遠野物語』の舞台として知られ、河童や座敷わらしをはじめとする民話が地域に深く根づいています。
長年にわたって民話を伝えてきたのが、「遠野昔話語り部の会」に所属する語り部たちです。観光施設や宿泊施設で観光客や地元住民に向けて語りを披露し、市内の小学校では児童への語り指導も行われています。
しかし、後継者不足が深刻化し、一時は語り部が6人にまで減少。そこで岩手県内から語り部を新たに公募したところ、約40人の応募が集まりました。20回の研修を経て10人が新たな語り部として認定され、現在は16人体制で活動しています。40代の参加者も加わり、世代交代も進みました。
応募者の多くは市外在住者で、遠野の民話文化に魅力を感じ、担い手として参加した人々です。「地域の文化を愛する人」を文化継承の仲間として迎え入れるオープンな姿勢が、外部の人が地域文化の担い手として加わる関係人口の流れをつくっています。
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3. 北海道厚沢部町|地域での暮らしと保育園での生活を短期間体験する「保育園留学」
北海道厚沢部町の認定こども園「はぜる」の園舎[画像提供:株式会社キッチハイク]
厚沢部町(あっさぶちょう)では、「保育園留学」事業として、自然豊かな地域での暮らしと保育園生活を1〜2週間体験できるプログラムが行われています。
このプログラムでは、子どもの一時預かり制度や、リモートワークや日常生活が送れる宿泊環境、特産品の収穫体験なども用意されており、これまでも数多くの家族が参加してきました。留学後、年に複数回にわたって厚沢部町を訪れるようになった人たちも見られ、子どもと家族の体験を起点に、「人」と地域との関係が育まれていく可能性を示す事例といえるでしょう。
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4. 秋田県五城目町|デジタル技術と地域資源でつくる「ネオ集落」
森山ビレッジ外観[撮影:近藤孝行]
人口約7,500人*10の五城目町(ごじょうめまち)では、2023年12月、5棟の木造住宅からなる新しいかたちの集落「森山ビレッジ」が竣工しました。半径30キロメートル圏内の森林資源を使い、デジタルファブリケーション(デジタル技術を用いたものづくり)の手法で、全国から集まった人々が建築の各工程に参加してつくり上げた集落です。
発起人となったのは、東京から五城目町へ移住したメンバーをはじめとする5世帯。木材の3D加工機で五城目町産の木材を加工し、組み立てや内装づくりにも全国の参加者がかかわるかたちで建設が進められました。
2023年春に実施されたクラウドファンディングでは、283人から目標金額(500万円)を上回る626万円の支援が集まり*11、支援者は「村民」としてオンラインコミュニティへの参加や宿泊が可能に。竣工後は、毎日住む人だけでなく、二拠点居住者、宿としての一棟貸し利用者、教育留学で滞在する家族など、住民票にとらわれない多様な住まい方が生まれています。
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5. 青森県田舎館村|「田んぼアート」の田植え体験ツアー
青森県田舎館村の田んぼアート[画像提供:田舎館村]
田舎館村(いなかだてむら)では、地域おこしのために1993年より田植え体験ツアーを企画。村を活性化する施策の一環として、多品種の稲を用いて田んぼに絵や文字を描いたものが「田んぼアート」として定着し、全国的な知名度を誇る観光資源となっています。
農業に触れる機会を提供する田植えや稲刈りの体験ツアーには毎年約1,000名が参加*12。田んぼアートを見るための来場者が20万人を超える年もある*13など、地域外の人々との接点を継続的につくり出しています。それにより、展望料収入約2,000万円(2024年度)*14をはじめとする経済効果も生み出しています。
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6. 香川県|『瀬戸内国際芸術祭』のボランティアサポーター「こえび隊」
瀬戸内国際芸術祭のボランティアサポーター「こえび隊」[画像提供:瀬戸内こえびネットワーク]
瀬戸内の島々・沿岸部で開催される瀬戸内国際芸術祭には、島やアートが好きで芸術祭を手伝いたいと思う人々がボランティアサポーター「こえび隊」として参加できる仕組みがあります。
「こえび隊」の主な活動は、作品制作の手伝いやアート作品の案内など。こうした活動を通じて、アーティストや地域の人々、観光客、こえび隊のメンバー同士による多様な交流が生まれています。また、こえび隊は芸術祭開催期間外でも作品のメンテナンスや、地域行事の手伝いなどに取り組んでおり、地域の人々との緩やかで継続的なつながりを育んでいます。
2012年にはNPO法人瀬戸内こえびネットワークとして法人化され、2010年から2025年までにこえび隊に参加した人数は延べ55,000人に及びます*15。
非訪問系の関係人口を増やしている事例
7. ふるさと納税|寄付者との持続的な関係を構築
ふるさと納税は、ルーツのある地域や応援したい自治体に寄付ができる制度です。所得などに応じた一定の上限はあるものの、寄付金のうち2,000円を超える部分は税金の控除・還付が受けられ、多くの自治体から地域の魅力が詰まった「返礼品」が贈られます。
また、クラウドファンディング型のふるさと納税を活用し、移住体験用「お試し住宅」の整備費を募ったり、支援者に移住体験の機会を提供したりする自治体もあります。このようにふるさと納税は、オンライン・オフラインを問わず継続的なかかわりを築くきっかけとしても活用されています。
8. 『東北食べる通信』|地域の食材つきの情報誌
農業や漁業の現場・つくり手を特集した情報誌とその地域の特産品がセットになった「東北食べる通信」[画像提供:株式会社山海畑]
『東北食べる通信』は、農業や漁業の現場・つくり手を特集した情報誌と、その地域でとれた食材をセットにして届けるプロジェクト。生産者の想いをモノとあわせて届けることで、消費者と生産者をつなぐ仕組みであることが特徴です。
情報誌を通じてストーリーを知ったうえで実際に食材を調理し、おいしく食べたあとは、「ごちそうさま」の気持ちをSNSなどで届ける。そうしたやりとりを通じて生産者との心理的なつながりや交流が生まれ、このプロジェクトが移住のきっかけとなった例もあります。
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【監修者コメント】関係人口創出に成功している地域の共通点

小田切
関係人口がかかわる対象は「かかわりしろ」といわれます。この「しろ」は「のりしろ」にも使われているように、「余地」を表す言葉です。関係人口をめぐる取り組みでは、地域外の人々がかかわることができる「余地」がとても重要です。事例に見られるように、地域の資源や文化の保全や農林水産物の生産、さらに地域で発生する「困りごと」の緩和や解消さえも「かかわりしろ」になっています。
地域では、特定の「かかわりしろ」を設定し、それを地域外の人々に伝え、無理なく関与できるような具体的な仕組みを準備することが求められます。さらに、先発的な取り組みには、1回のみではなく、繰り返しお付き合いが生まれるような工夫も共通して行われています。
関係人口創出における課題と失敗しないためのポイント
関係人口創出において重要な課題やポイントとなるのが、以下の2点です。
- 地域住民との意識のギャップを埋める
- 一過性で終わらせない継続的な関係構築
地域住民との意識のギャップを埋める
受け入れ体制が整っていないと、地域に関心を持つ人と継続的な関係を築くことはできません。訪問者と住民とのあいだで小さな行き違いが生まれたり、地域の魅力が十分に伝わりきらずその後のかかわりにつながらなかったりする場合もあります。
行政や地元企業だけでなく住民まで含めた地域全体で課題・目的を共有し、取り組みに対する住民の意欲や地元への愛着・誇りを育て、受け入れ体制を築くことが大切です。
一過性で終わらせない継続的な関係構築
一時的な訪問者にとどまらない「担い手」としての定着や関係の深化を実現するためには、オンライン・オフラインを問わず継続的に接点を持ち続けられる仕組みが大きな意味を持ちます。
イベント・地域活動への参加といった訪問型のかかわり方のほか、EC・ふるさと納税などオンラインで地域を応援する選択肢や、離れていても地域を知り関心を深められる媒体など、多様な接点を地域が提供できれば、一人ひとりの状況やライフステージに合わせたかたちでつながりを維持しやすくなります。
また、こうした仕組みの実現には、長期的な視点で取り組みを続けられる体制を築くことも欠かせません。いかに担当者の擁立・育成や中間支援組織との連携、拠点の運営、資金の調達を行うかなど、取り組み自体の持続可能性を考えることも重要です。
こうした継続的な関係を構築するための新たな仕組みとして注目されているのが、「ふるさと住民登録制度」です。
下の表は横方向にスワイプできます
| 【ふるさと住民登録制度】 |
| 国による関係人口創出施策のひとつとして、「ふるさと住民登録制度」*16が2026年度より本格導入を迎えます。「ふるさと住民」としての登録を通じて、住民票を移すことなく関心を抱く地域とのつながりを持てる新たな仕組みです。
利用者はアプリでかかわりを持っている / 持ちたい自治体を登録することで、地域にまつわる情報を受け取ったり、地域貢献活動のサポートを受けたりできます。
このプラットフォーム上での情報発信や担い手募集が多様な接点をつくり出し、関係人口創出・拡大の後押しになることが期待されます。 |
【監修者コメント】関係人口を持続的に創出するコツ

小田切
関係人口には「見えにくい」「離れやすい」「(地域の人々と)混ざりにくい」という課題があります。政府が準備しつつある「ふるさと住民登録制度」は、多様で特定化しづらい関係人口を見える化するために役立つ可能性があります。また、登録することによって特定の地域に関係人口を留めておく効果も期待できます。
一方で、「混ざりにくい」という課題の解決は、「ふるさと住民登録」だけでは不十分です。「かかわりしろ」をきっかけにできたつながりをより深く、そして持続的なものにするためには、表面的な関係を脱して、内外の人々が「ごちゃまぜ」になることが必要です。地域を「助ける側/助けられる側」という関係でとらえるのではなく、ともに地域をつくりあげる「共創人口」へと発展させていくことが次なる課題だといえます。
まとめ|関係人口は持続可能な地域づくりの鍵
地域や地域の人々との継続的なかかわりによって、地域づくりの担い手となる可能性を持つ「関係人口」。
人口減少や高齢化の進むなかで持続可能な地域社会を実現するために、各自治体が地元企業や中間支援組織、そして住民と連携しながら関係人口の創出・拡大に取り組む重要性はさらに増していくのではないでしょうか。
*1:内閣官房/内閣府「まち・ひと・しごと創生基本方針 2021」
*2:総務省「これからの移住・交流施策のあり方に関する検討会(概要)」
*3:内閣官房/内閣府 第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」(2020 改訂版)
*4:内閣官房/内閣府「『関係人口』について」
*5:日本関係人口協会「関係人口とは?」
*6:国土交通省「国土交通白書・2 社会を支える担い手の再発見」
*7:内閣官房/内閣府「地方創生 事例集」
*8:飛騨市「人口・世帯数」
*9:飛騨市公式観光サイト「飛騨市ファンクラブのご紹介!」
*10:秋田県町村会「五城目町」
*11:READYFOR「日本初のデジファブ集落!21世紀の新たな住まい方を実験する仲間募集」
*12:田舎館村「広報 いなかだて 2025 6 第832号」
*13:東北農政局「青森地域からの便り(令和6年度)」
*14:田舎館村「広報 いなかだて 2025 11 第837号」
*15:特定非営利活動法人 瀬戸内こえびネットワークへの確認による参加人数
*16:総務省「ふるさと住民登録制度の創設について」
この記事の内容は2026年6月18日掲載時のものです。
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Credits
- 執筆
- 永田遥奈
- 編集
- 山口倫知(エクスライト)、牧之瀬裕加、包國文朗(CINRA,Inc.)