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過疎化とは?対策事例6選と地方で進む問題、未来の見通しを専門家が解説
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日本各地で深刻化する「過疎化」。人口減少にとどまらず、産業の衰退や生活インフラの維持困難といった問題が、地域社会の持続性に影響を及ぼしています。
1970年の過疎法制定以降、国や自治体による対策がさまざま講じられてきましたが、2022年の統計では、過疎地域に関係する市町村は全体のおよそ半数に及びます*¹ᐧ²。
そうしたなか、過疎化に歯止めをかけようと、官民が連携して地域資源やICTなどを活用した対策に取り組む事例も生まれています。
今回は、過疎化の定義や原因、生じる問題などの基礎知識を整理したうえで、過疎化対策の6つの先行事例を紹介。これらをふまえ、今後の見通しや過疎化対策のポイントも解説します。
※本稿では、法令に基づいて指定される過疎地域市町村・過疎地域とみなされる市町村(みなし過疎)・過疎地域とみなされる区域のある市町村(一部過疎)の総称として「過疎市町村」を用います*¹。
過疎化とは? 基礎知識を簡単に解説
まずは基礎知識として、「過疎化」の定義とその加速の背景にある原因を簡単に解説します。
過疎化の定義
過疎化とは、地域人口の減少によって地域社会の社会的・経済的な機能が低下し、その地で暮らす人々の一定の生活水準を維持することが難しくなった状態やその経過を指す言葉です*1。
医療や教育、防災など地域で人々が生活するために必要なインフラが維持されず、また産業の担い手が不足して生産活動が縮小するなど、多様な要素を背景に地域が衰退することを意味します。
本記事では、こうした地域の衰退をまとめて「過疎化」と表現しますが、その衰退を取り巻く事象・要因(たとえば農林業の衰退、地方都市中心市街地の衰退など)や生じる問題は地域によりさまざまです。
地方の過疎化が止まらない原因
高度経済成長期以降(1950〜70年代)、日本の産業構造が大きく変化しました。大都市における労働力需要の増大に呼応するように、農山漁村地域から都市部へ若年層を中心とした人口の流出が生じたのです。
これによって地域の人口が大幅に減少し、税収減による生活インフラや行政サービスの縮小、地域産業の衰退、それに伴う雇用機会の減少など、さまざまな問題が発生。こうした状況は、より暮らしやすい環境や仕事を求めて若年層がさらに都市部へ流出する、という悪循環を生み出しています。
また、若年層の流出に加えて、出生数が死亡数を下回る「自然減」も、地方の過疎化を加速させる要因のひとつです。人口流出によって出生数が減少し、高齢者の割合が高まることで、地域人口そのものが縮小していく構造を生み出し、過疎化に拍車をかけています。
日本の過疎化の現状と今後の見通し
2022年4月時点で、過疎に関係している市町村都道府県を示したマップ。ピンク色が、過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法 第2条の規定に基づき、過疎市町村と認定されている地域(出典:総務省自治行政局過疎対策室「過疎関係市町村都道府県別分布図令和 4年 4月」)
「過疎化」をめぐる日本の現状と今後の見通しを、統計データに照らして解説します。
日本で人口減少率が高い地域の特徴
2024年の人口推計によると、人口減少率(前年と比べて人口がどのくらい減少したかを示す割合)が1%以上となった県は18県にのぼります*3。また、2025年の人口移動統計では、これらの地域の多くで、転出数が転入数を上回る「転出超過」の傾向が確認されています*4。
さらに深刻なのは、人口構造そのものです。日本の高齢化率(65歳以上の人口割合)は30%を超えており、2024年には総務省のデータによるとすべての都道府県で出生数が死亡数を下回る「自然減」となりました*3.5。
つまり、「人口の流出」と「少子高齢化に伴う自然減」の二重の痛手が、地方の地域社会を取り巻いているといえます。
都市部と地方の人口バランスの変化
三大都市圏(東京圏・名古屋圏・大阪圏)の人口が総人口に占める割合は、2015年時点で51.8%に及びます。1955年時点では37.2%だったのに対し、約15%増加しており、高度経済成長期以降の経済発展を背景に、日本の都市部と地方の人口バランスが大きく変化したことがわかります。
今後も三大都市圏の人口シェアは高まり続け、2050年には6割弱にまで及ぶと見込まれており、地方の地域社会における過疎化対策の重要性も増すと考えられます*6。
【監修先生コメント】日本の過疎化はどこまで進む?

西野
地域差はあるものの、都市から離れれば離れるほど過疎段階を越えて、地域存続が問題となっている。過疎地域では地域存続のための創意工夫や努力が続けられているが、その根本的な原因は「地域に産業がないこと」「若者が就業したいと思う就業の場が極めて少ないこと」にある。このままいけば、集落の消滅が頻発する可能性が高いと考えられる。
その一方で近年、地域おこし協力隊制度による移住を契機として、幅広い年齢層が過疎地域の空き家に移住し、現代的なセンスで産業創出を行っている例が見られる。こうした現象が地域存続にどのようにつながるのか、中長期的にその動向を見守る必要がある。
過疎化が進むと発生する問題を具体的に紹介
過疎化が進むことによって起こりうる問題には、次のようなものがあります。
- 空き家や廃校の増加で街の景観が変わる
- 商店街が空洞化して買い物が不便になる(産業の空洞化)
- 農業や産業の担い手が不足する
- 耕作放棄地が増加する
- 高齢化でお祭りや行事などの地域活動が続けられなくなる
- 公共交通や医療、道路など、生活基盤となるインフラが縮小する など
空き家や廃校の増加で景観が変わる
過疎化が進むと、人口減少や高齢化によって住宅や学校の利用者が減り、空き家や廃校が増加します。人の手による維持管理が行き届かない建物や土地が増えることで、美しい街並みが失われるだけでなく、周辺環境の安全・防犯・衛生などのさまざまなリスクも生じます。
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商店街が空洞化して買い物が不便になる
都市の中心部における人口減少に伴い商業や人の流れが郊外へ移ることで、地域の中心地にある商店街が寂れて空洞化が進みます。空き店舗が増加すると、地域住民が生活に必要な買い物をする場が失われていきます。特に高齢者や障がいのある人にとって、その影響は大きなものといえます。
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農業や産業の担い手が不足する
過疎化が進むと、若年層の人口流出や高齢化によって、農林漁業をはじめとした地域産業の担い手が不足します。その結果、地域産業が衰退し、地域の経済はもちろん、都市部への食料などの供給にも影響を及ぼします。
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耕作放棄地が増加する
過疎化が進み、農林業に従事する人が高齢になったり減ったりすると、十分に手入れされなくなった耕作地(耕作放棄地)が増加します。耕作放棄地の増加は、食料自給率の低下につながるだけでなく、景観や治安を悪化させたり、害虫・害獣の被害増を招いたりと、周辺環境にさまざまな影響を及ぼす懸念があります。
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高齢化でお祭りや行事などの地域活動が続けられなくなる
過疎化が進むと、人口減少や高齢化によって、お祭りや行事などの地域活動を維持することが難しくなります。地域活動は住民の交流・連携において重要な役割を担うものです。地域活動やコミュニティが衰退することで、防犯や防災の機能が弱まったり、地域文化の継承が難しくなったり、さらには人口流出が加速する恐れもあります。
公共交通や医療、道路など、生活基盤となるインフラが縮小する
過疎化が進んで地方自治体の税収が減ると、公共サービスの質が下がり、やがてはその維持が難しくなります。医療・福祉サービスや公共交通、さらには上下水道や道路整備など住民の日常を支えるインフラ事業が縮小した結果、生活水準が大きく低下し、さらに過疎化を推し進めてしまうことになりかねません。
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地域タイプで異なる「過疎化の問題」
過疎地域と一口にいっても、その性質に応じて、過疎化の背景や生じる問題は異なります。
(例)
- 山村地域:木材の輸入自由化(1964年)、および変動相場制導入以降に進んだ円高(1973年以降)などによる国内林業の衰退を主な要因として、地域産業・経済が停滞し若年層の流出が加速した*7
- 農村地域:担い手不足や農地や経営の集約が進んだ結果、地域の小規模農業が成り立ちにくくなったことによる農業の衰退・耕作放棄地の増加を主な要因として、地域経済の縮小や雇用機会の減少、地域環境の悪化に伴うさらなる人口の流出が生じている*8
- 地方都市:自動車の普及による商業機能の郊外化を主な要因として、地域の経済・商業の中心となっていた「中心市街地」から賑わいが失われ(空洞化)、人口の流出が生じている
【監修先生コメント】地域ごとに異なる解決のアプローチ

西野
山村では、間伐材が大量に生産されているが、山林所有者に利益が遡上せず、日本林業のあり方が問われている。日本のエネルギー自給率の低さを補うためにも、カーボンニュートラル政策にも貢献する「木質ペレット」を家庭や学校病院などに普及させ、都市山村間の循環経済を構築することが政策として求められる。
食料供給を担う農村では、耕作放棄地の集約化や機械化によって、規模の大きな農業経営が可能になっている。事前に数量や出荷時期を決める「契約的農業」で所得安定が図れるような政策的誘導を検討することが、後継者を育成するためにも必要だ。
地方都市の中心市街地では、自動車普及率が高く空洞化が進んでいるが、新たなセンスで商店街の再生に取り組む事例が多く見られており、注目できる。政策的には、中心市街地に新たな機能・役割を見出し、土地利用を活性化させていく施策が求められる。
過疎化対策の先行事例6選
ここからは、過疎化対策の先行事例を6つピックアップし、それぞれの概要や現段階で見えている成果を紹介します。取り上げる取り組みは、以下のとおりです。
下の表は横方向にスワイプできます
| 地域 | 概要 |
|---|---|
| 群馬県上野村 | 産業振興とUIターン者の雇用・住まい・生活支援に取り組み、Iターンによる定住者は人口のおよそ20%に及ぶ |
| 徳島県神山町 | 高速インターネット環境と古民家を活用したサテライトオフィス誘致に取り組み、16社の誘致と40名超の雇用創出を実現した |
| 岡山県西粟倉村 | 森林資源を活用した事業・雇用創出に取り組み、10年でおよそ30社のローカルベンチャー企業誕生と180名の雇用創出を実現した |
| 大分県豊後高田市 | 中心市街地の再生・活性化による商業と観光の一体振興に取り組み、新規事業創出や空き店舗解消による雇用創出を実現。移住支援施策と併せて、12年連続で社会増(転入者数が転出者数を上回り、人口が増加すること)の達成に寄与する |
| 北海道上士幌町 | 移住定住支援と並行して、先進技術を活用した「スマートタウン化」による住民の利便性向上や産業振興に取り組み、若年層を中心に5年で88名の移住が実現した |
| 新潟県長岡市 山古志地域 | NFT(デジタルデータに「誰のものか」を記録できる技術)を活用したデジタル住民票の発行による関係人口増加に取り組む。デジタル住民は施策開始から約2年でおよそ1,600人に及ぶ |
1.群馬県上野村|産業振興でUIターン政策の先駆けとなる
群馬県上野村への移住定住サイト「上野村移住Navi.」
はじめに紹介するのは、産業振興とUIターン※の積極的な受け入れに取り組む、群馬県上野村の過疎化対策事例です。
上野村では、1989年度より若年層の定住促進をスタート。豊富な森林資源を活かした林業・木工業や観光業などの産業振興に取り組み、雇用の場を生み出しました*9。さらに、就職支援の仕組みの充実、移住者の住まいとなる村営住宅や住宅用地の整備、多様な住宅・子育て支援金の設置など、「雇用・住まい・生活支援」を軸とした取り組みを進めてきました *9〜12。
その取り組みはUIターン政策の先駆けになったともいわれており、2020年度末には人口のおよそ20%にあたる241名のIターン者が上野村に定住しています*13。
※Uターンは、地方で生まれ育った人が都心での勤務を経て故郷に戻り働くことを、Iターンは、生まれ育った故郷以外の地域に移住し働くことを指します
2.徳島県神山町|サテライトオフィスで移住者・雇用が増加
徳島県神山町の風景(画像提供:大南信也さん)
続いて紹介するのは、サテライトオフィス(本拠点から離れた場所に設置するオフィス)の誘致に取り組む、徳島県神山町の過疎化対策事例です。
神山町では、2012年より「とくしまサテライトオフィスプロジェクト」が始動。町全域に整備された高速インターネット環境と古民家を活用し、ICT関連企業などのオフィス誘致を本格化させました*15。自治体とNPO法人の連携によって、古民家改修などの環境づくりや移住する社員への生活支援、地域における受入体制構築が進んでいます*16。
2016年には神山町への移住者は170名※にのぼり、このうち20〜30代の若年層が6割を占めます*16。サテライトオフィス設置・本社移転・新会社設立を行った企業は2022年12月時点で16社に。40名を超える新たな雇用も生まれています*17。また近年は、2023年に開校した神山まるごと高等専門学校の影響もあり、教育やテクノロジーを軸とした新たな人材の流入も生まれています。
※サテライトオフィスプロジェクトに関連する移住者に限った数字ではありません
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3.岡山県西粟倉村|林業の6次産業化で事業を創出
西粟倉村の「百年の森林構想」のイメージ図(画像提供:西粟倉村)
続いて紹介するのは、地域資源である森林を活かした事業・雇用創出に取り組む、岡山県西粟倉村の過疎化対策事例です。
西粟倉村では、森林資源を活用して地域経済や雇用を創出するというビジョン「百年の森林構想」を2008年に策定*18。放棄された森林の管理を村が請け負い、整備を実施しています。さらに、木材の加工・流通を担うローカルベンチャーを創出するべく、地域おこし協力隊制度を活用した起業支援の取り組みも行ってきました*18。
構想を掲げてから10年で、ローカルベンチャー企業が約30社誕生。180名の雇用が生まれたほか、総人口およそ1,500人のうち、Iターン者が占める割合は約2割に達しています*19.20。
4.大分県豊後高田市|「昭和」テーマのまちづくりで人口が社会増
「昭和30年代」をテーマとした豊後高田昭和の新町通り商店街の様子(画像提供:豊後高田市)
続いて紹介するのは、商業都市として栄えた歴史を汲みながら中心市街地の再生・活性化に取り組む、大分県豊後高田市の過疎化対策事例です。
豊後高田市では、2001年度より商業と観光の一体振興をめざした「豊後高田昭和の町」プロジェクトを開始*21。自治体や商店主、商工会議所などが一体となって、「昭和30年代」をテーマとしたまちづくりを実施しました*22.23。景観の整備、中心市街地の空き店舗対策、地域住民が観光客を案内する「ご案内人制度」や集客拠点施設の整備など、多様な取り組みが行われました*21〜23。
当初の目標であった年間観光客数5万人に対し、2024年の「豊後高田昭和の町」への観光入込客数は25万人に*21.24。さらに、市は宝島社が発行する『田舎暮らしの本』内の「住みたい田舎ベストランキング」で6年連続全部門1位を獲得し、12年連続社会増を達成しているほか、新規事業や空き店舗の解消によって雇用の創出も進むなどの成果があがっています*23.25。
5.北海道上士幌町|ICTやデジタルの活用で若い移住者が増加
北海道上士幌町の自動運転バス。実用化に向けた取り組みを実施している(Photo by Chihiro Kiyota)
北海道上士幌町の自動運転バスには、対話型AIによるバーチャル車掌が搭載されており、周辺施設の案内などを行う
続いて紹介するのは、ICT(情報通信技術)やデジタルを活用したまちづくり、いわゆる「スマートタウン化」を推進する北海道上士幌町の過疎化対策事例です。
人口減少や少子高齢化が進むなか、上士幌町では公共交通の維持と移動手段の確保を目的として、2017年より自動運転バスの実証実験をスタートしました*26。さらに、タブレット端末を用いた福祉バスのデマンド化(予約に応じて運行すること)や要支援認定者の遠隔確認、ドローンを用いた配送サービスや山岳救助など多様な取り組みが展開され、スマート農業や医療・介護などでもスマート化を推進しています *26.27。こうした先進技術の活用は、医療・介護分野をはじめとした地域サービスの高度化や、住民の利便性向上につながると期待されています*28。
2015〜2019年度の5年で移住者は88名にのぼり、なかでも若年層(世帯主が20〜40代)の移住者が7割を占めるなど、スマートタウン化の取り組みや移住定住支援施策の成果が見られます*28。
6.新潟県長岡市|「デジタル住民」で交流人口の増加に挑戦
1988年から新潟県長岡市で行われている、伝統的な「古志の火祭り」の様子
最後に紹介するのは、地域づくり参加のための電子住民票(NFT)の発行・配布を起点とした交流人口増加に取り組む、新潟県長岡市の過疎化対策事例です。
長岡市山古志(やまこし)地域では、地域発祥の錦鯉をモチーフとしたデジタルアート作品を「電子住民票(NFT)」として発行し、関係人口づくりに取り組む活動を2021年より開始しました*29。電子住民票を持つ「デジタル住民(村民)」は地域振興に関する事業を提案し決定する投票権を与えられ、地域コミュニティに参加することができる仕組みです*30。
2023年11月時点でデジタル住民はおよそ1,600人に及びます*29。物理的な山古志地域、いわゆる「リアル山古志」で実施された各種プロジェクトでは、実際にデジタル住民と地域との交流が生まれ、地域振興事業の推進につながる成果も出ており、さらに地域資源を活かした経済活動が生まれることが期待されています*29.31.32。
【監修先生コメント】過疎化対策に成功した事例の共通点は?

西野
地域づくり・地域再生の取り組みには、様々な先行事例があるが、「地域独自の政策がどれだけの時間継続されているのか」が重要である。なぜなら、一旦決めた政策を維持し続けることは、多大な知恵や創意工夫、労力、そして財源を必要とし、容易なことではないからである。
ここに紹介されたそれぞれの地域の取り組みの根底には、「地域持続への強い危機感」があるのが共通点といってよい。そういった危機感がそれぞれの取り組みとして具体化し、新たな地域文化の形成へと結びついている。デジタル技術やAIを活用した地域づくりは、ネット空間を形成して新たな地域間交流を進める手法として注目されており、地域づくりのかたちとして今後の展開が期待される。
これからの過疎化対策で大切なポイント
さらなる過疎化の進行が予想されるなか、今後どのような取り組みが必要になるのでしょうか。これからの過疎化対策におけるポイントを、先行事例をふまえて解説します。
交通・医療・福祉・防災など生活基盤となるインフラの再設計
過疎化対策においては、まずは地域住民が安心して暮らし続けられる環境をつくることが欠かせません。
先進技術を活用して、公共交通や山岳救助などのサービスの維持・拡充を進める「北海道上士幌町」や、定住促進に向けた住宅用地整備に力を入れる「群馬県上野村」の事例のように、交通・医療・福祉・防災をはじめ生活を支えるインフラを再設計・整備することが求められます。
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地域内外の人がかかわる仕組みづくり
地域にコミュニティや賑わいを生むため、地域内外の人々がかかわり合う仕組みをつくることは、人口の流出に歯止めをかける一助となり得ます。
電子住民票の発行で関係人口増加をめざす「新潟県長岡市山古志地域」や、地域おこし協力隊制度を活用して事業・雇用の創出に取り組む「岡山県西粟倉村」の事例が参考になります。
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拠点を中心とした地域運営
「昭和の町」を拠点として地域の賑わいを取り戻した「大分県豊後高田市」の事例のように、過疎化対策や地域運営の軸として、拠点を据えることも有効です。
拠点を中心に施設や環境の整備を進めたり、まちづくりのコンセプトを表現したりすることで、商業・観光の振興を行いやすくなります。また、拠点の運営や観光客への対応を担う人材が必要となり、継続的な雇用の創出につながることも期待されます。
デジタル技術を活用した課題解決
ICTやデジタルを用いて、住民の利便性向上や産業振興に取り組む北海道上士幌町の事例に見られるように、先進技術を活用することも、過疎化対策の重要なテーマとなります。
徳島県神山町の事例でも、取り組み始動以前から高速・大容量通信が可能なインターネット環境が町全域で整備されていたことが、サテライトオフィス誘致を成功させる大きな要因となりました。
まとめ
1970年の過疎法制定以降、さまざまな施策が重ねられてきたものの、過疎化に直面する地域は現在も全国に広がっています。今後も都市部への人口集中が進むと予測されるなか、過疎地域ではより実効性の高い過疎化対策が求められています。
先行事例に共通するのは、地域の実情に合わせた産業づくりや、外部人材・デジタル技術を柔軟に取り入れている点です。今後、先行事例の経過や成果に学びながら、自治体や地域の商店・事業者、住民などの連携のもと、地域の魅力や賑わいをつくり出す取り組みの重要性が増していくでしょう。
*1:一般社団法人全国過疎地域連盟「『過疎』のお話」
*2:一般社団法人全国過疎地域連盟「過疎地域のデータバンク」
*3:総務省「人口推計 2024年(令和6年)10月1日現在(結果の要約)」
*4:総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告 2025年(令和7年)結果」
*5:内閣府「第1章 高齢化の状況(第1節 4)」
*6:総務省「都市部への人口集中、大都市等の増加について」
*7:森林・林業学習館「日本の林業の現状」
*8:一般社団法人 市民セクター政策機構「●大規模農業化で農業・農村の危機は救われるか(慶應義塾大学名誉教授 金子 勝)」
*9:全国小さくても輝く自治体フォーラムの会「上野村」
*10:ぐんまな日々「林業で働く」
*11:ぐんまな日々「上野村」
*12:ぐんまな日々 掲載資料「R7_移住・定住支援施策一覧_0731時点」
*13:群馬県多野郡上野村「上野村過疎地域持続的発展計画(令和3年度~令和8年度)」
*14:東京ハローワーク「用語」
*15:TOKUSHIMA Satellite office Promotion site Tokushima Working styles +「とくしまサテライトオフィスプロジェクトの歴史」
*16:内閣府地方創生推進事務局「稼げるまちづくり取組事例集『地域のチャレンジ100』」
*17:令和5年度地域づくり団体都道府県協議会会長及び都道府県地域づくり団体担当課長会議「徳島県神山町~人口5000人の小さな町はなぜ進化し続けるのか~」
*18:大友和佳子「過疎地域(農山漁村)における移住政策の方向性と移住者が求めるものへの一考察―岡山県西粟倉村における移住と起業の流れから―」
*19:全国町村会「『百年の森林構想』の10年」
*20:事業構想 PROJECT DESIGN ONLINE「西粟倉の「百年の森林」構想 30社超のローカルベンチャーが勃興」
*21:大分県豊後高田市「第2期豊後高田市中心市街地活性化基本計画」、厚生労働省「昭和の町を核とした商業と観光の一体的振興による雇用の創出」
*22:大分県豊後高田市「豊後高田昭和の町並み」
*23:大分県豊後高田市「地域再生計画」
*24:大分県豊後高田市「令和7年度版 市勢要覧 豊後高田市のすがた資料集」
*25:朝日新聞「大分・豊後高田市、「住みたい田舎」ランキング全部門1位 6年連続」
*26:公明党「便利で暮らしやすい町へ スマートタウンを推進」
*27:事業構想 PROJECT DESIGN ONLINE「デジタルとアナログを融合し住民支援 上士幌町×NTT東日本」
*28:北海道上士幌町長「2021年度SDGs未来都市等提案書」
*29:朝日新聞「世界中で「デジタル住民」1万人を 過疎地が挑戦する「電子住民票」」、長岡市「【広報な毎日】デジタル活用で過疎対策、山古志住民会議に総務大臣賞」
*30:讀賣新聞オンライン「過疎の自治体「デジタル住民」で町おこし…電子住民票を発行、地域づくりに「投票権」」
*31:デジタル庁「デジタル村民とはじめる「集落存亡」をかけた挑戦」
*32:令和3年度 過疎地域等集落ネットワーク圏形成支援事業「仮想山古志村プロジェクト ~新たな共同体の形成~(新潟県長岡市旧山古志村地区)」
この記事の内容は2026年4月7日掲載時のものです。
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Credits
- 執筆
- 永田遥奈
- 編集
- 牧之瀬裕加(CINRA, Inc)