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日本酒・ワイン・焼酎・ウイスキー。「海酒」「山酒」「島酒」でめぐる地酒と土地の物語
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一口飲むだけで、その土地の風の匂いや、出会った人々の記憶までよみがえる——そんな不思議な力をもつのが「地酒」です。
土地土地でつくられ、地元で愛されてきたお酒は、日本酒に限らずワインも焼酎もウイスキーも、皆その風土を映す鏡のような存在。南北に長い海岸線と、国土の約75%を占める山々、そして1万4,000もの島(いずれも出典は国土交通省 国土地理院)。多様な自然に恵まれたこの国だからこそ、地酒の表情もまた驚くほど豊かです。
今回はフードライター・堀越典子さんが、これまでの取材や旅で出会った「海酒」「山酒」「島酒」と土地が響き合う瞬間について、コラムでご紹介します。
「地酒」は、土地を映す最強のキラーワード
お酒好きにとって、「地酒」の二文字は最強のキラーワードではないでしょうか?
地酒というと日本酒限定でくくられがちですが、シンプルに定義すれば土地土地でつくられ、地元で飲まれてきたノンジャンルのお酒のこと。
南北に長い本土をぐるりと海が囲み、かと思えば国土の約75%を山地が占め、約1万4,000もの島をもつ島国・日本には、それぞれの風土、歴史、食文化に育まれたお酒のバリエーションが実に豊か。こんなにありとあらゆる地酒が楽しめる国は、世界でも数少ないでしょう。
ここでは筆者が取材や旅で出会った「海酒」「山酒」「島酒」の記憶をほどきながら、地酒の楽しみが満喫できる日本酒、ワイン、焼酎、ウイスキーを紹介していきます。
「海酒」|海の潮が生み出す、無二の個性
太平洋の潮がほのかに香る、高知の淡麗辛口の日本酒
日本の47都道府県のうち、実に8割以上にあたる39都道府県が「海あり県」。そのすべてに近海と海街の風土を映す個性豊かな地酒があります。
千葉県に生まれ育った自分にとって、海酒といえば、ずばり日本海側よりも太平洋沿岸エリアでつくられる「日本酒」のイメージ。特に、千葉と同様に太平洋に大きく開けた高知県の日本酒を飲むと、故郷に帰ったような懐かしさを覚えます。
南国土佐のお酒には、なぜか太平洋側の海酒全体に共通する、潮風にも似たほのかな塩味を感じるものが多くあります。ある酒蔵の蔵元さんに聞いてみると、「昔からよく言われますよ。仕込み水やつくった酒を分析に出しても、塩味に結びつく成分は一切出てこないのに。不思議だよね」とのこと。これぞ、海のDNAが引き寄せる神秘というべきかもしれません。
土佐湾(太平洋)に面した海岸・桂浜。高知の海は黒潮の影響により栄養が豊富で、カツオをはじめとした水産資源に恵まれている
もうひとつ、太平洋型海酒の典型的な特徴は、すっきりとキレのよい辛口が主流であること。高知のお酒も例に漏れず、淡麗辛口が基調のタイプが多め。さらりと軽快な喉越しのよさは、新鮮な魚を刺身で食べるのを好む郷土性にかなっているのでしょう。
「美丈夫」「南」「安芸虎」など海に近い酒蔵のお酒を名物の「鰹のたたき」と一緒に味わうと、その文句なしの相性がすとんと腑に落ちます。
土佐の郷土料理「鰹のたたき」は、漁師が船上で食べていたまかない料理が発祥とされる(画像提供:堀越典子さん)
一方で、高知県民は男性の「いごっそう*1」、女性の「はちきん*2」に象徴されるように、豪快でオープンな県民性で知られるところ。お酒好き、宴会好きの土地柄から、大皿の皿鉢(さわち)料理*3を大勢で囲んでお酒を酌み交わす「おきゃく」のもてなし文化が発展。料亭などでは、独特の構造をもつ盃「べく杯」を使って宴席を楽しむ伝統も。
*1 豪快で気骨のある男性のこと
*2 快活で芯の強い女性のこと
*3 大皿に高知県の山の幸、海の幸を盛り付ける郷土料理
べく杯は盃の底の形状がアンバランスで穴が開いているため、指でふさいで飲み干さなければ卓上に置けないという酒器。そんな酒豪さんぞろいの県だからこそ、たくさん量が飲めて飽きない辛口の酒が歓迎されるようになったという説もあります。
天狗、おかめ、ひょっとこなどを模した「べく杯」(画像提供:高知市観光魅力創造課)
アーケード商店街でイベントとして行われている『土佐のおきゃく』(画像提供:高知市観光魅力創造課)
土佐の「おきゃく」文化は、いまでは年に1回のお祭りイベント『土佐のおきゃく』として、高知市周辺の街々に引き継がれています。街頭のこたつ席で老いも若きも一緒に飲み、食べ、盛り上がる光景は圧巻の一言! 機会があったら、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。
牡蠣と響き合う海のテロワール、北海道・厚岸のウイスキー
潮の香りつながりで思い出す海酒は、昨今海外でも高い評価を受けている北海道のクラフトウイスキーです。
その実力に開眼したのは、かれこれ7年前の夏、昆布漁の取材で道東の厚岸町を訪れ、漁港に近い道の駅に立ち寄ったときのこと。併設のオイスターバーで、名物の生牡蠣とセットでサーブされたのが、地元の厚岸蒸溜所のモルトウイスキーでした。
海と湿原に囲まれた厚岸の風土は、厚岸ウイスキーの個性にも深く関わっている
「牡蠣にウイスキーを垂らして食べてみてくださいね」
そう薦められ、言われたとおりに試してみた瞬間、思わず目を閉じました。
一口目に感じるのは、鼻に抜ける強めのピート香*4。その若干クセが強めの香りが、生牡蠣のジュースと混じるや海藻を思わせる磯のフレーバーに変わり、脳内の景色が一変。荒涼とした海岸線の風景が浮かび、波の音が聞こえ、潮の香りが体に流れ込んで満ちていくような。こんなに鮮烈な海のニュアンスが、2回蒸留のウイスキーに宿るとは! 日本酒やワインのペアリングでは感じたことがない、驚きの化学反応でした。
*4 ウイスキーの原料である大麦麦芽を乾燥させる際、泥炭(ピート)の煙で燻すことでつく煙のような香り
厚岸は、ウイスキー愛好家の聖地として知られるスコットランド・アイラ島とそっくりの自然環境をもつといわれます。2016年からウイスキーづくりをはじめた厚岸蒸溜所も、創業者が熱烈なアイラモルト好きだったことから、この地が建設地に選ばれたそう。海に面し、冷涼ながらも湿潤な海洋性気候。寒流の影響で発生する海霧は、樽熟成の原酒に独特の潮のニュアンスをもたらします。
最大の共通点は、海岸近くに広大なピート層の湿原が広がっていることでしょう。アイラウイスキーのアイデンティティともいえるピート(泥炭)は、枯れた植物が分解されずに堆積して炭化した有機土壌。麦芽を乾燥させる燃料に使うことで、特有のスモーキーな燻製香や「磯の香り」にたとえられるヨード香*5をもつ原酒になります。
*5 磯や海藻、または消毒液を思わせる独特の香り
泥炭地は本州の高地にも点在しますが、湿原のスケール感では北海道の道東が最大級。厚岸ウイスキーの自家製麦に使われるピートは、海藻や貝殻の堆積が多い理由から、湿原のなかでも昔海だった地点を選んで採掘されるそう。
そしてまた、アイラ島も養殖の牡蠣の産地! アイラモルトと生牡蠣は、地元で定番の食べ合わせでもあります。海を隔てて1万キロメートル離れた地で共有する海のテロワール。お酒好きとして、その奇跡を喜びたいと思います。
「山酒」|山が育てる、発酵と野性の味
ふなずしと寄り添う「発酵のミルキーさ」、滋賀の日本酒
全国に8県しかない「海なし県」のひとつに、日本のちょうど中心に位置する滋賀県があります。県土の6分の1を占める琵琶湖を中心に田園風景が広がり、背後には標高1,377メートルの伊吹山や鈴鹿山脈、比良山地などの山々が連なる自然環境。とりわけ日本最大にして最古の淡水湖であり、県民が「母なる湖」と呼ぶ琵琶湖の存在感は絶大です。
雲海が輝く琵琶湖。ニゴロブナをはじめ多くの固有種が生息している
ニゴロブナやビワマス、ホンモロコなど琵琶湖にしか生息しない固有種の湖魚が多い一方、内陸の盆地気候と湖のおかげで年間を通して湿度が高め。生ものが腐りやすく、逆に発酵には理想的な自然条件から、塩漬けの淡水魚と米を乳酸発酵させる「なれずし」が保存食として根づいてきました。その代表ともいえる郷土食が、ニゴロブナで仕込む「ふなずし」です。
ふなずしは1000年以上の歴史をもつ料理。チーズのような芳醇な香りが特徴
大河ドラマ『豊臣兄弟!』にゆかりの深い城下町・長浜を訪ねると、街にはふなずしの看板を掲げた川魚店が、あちこちに。昭和の中頃までは、それぞれの家に伝わるレシピで1年分のふなずしを大きな木桶いっぱいに仕込む家庭も多かったのだそう。
「乳酸菌の酸っぱい味が悪阻(つわり)にいい、滋養強壮にもなると言って、昔は妊婦さんへのお見舞いや出産祝いに贈る家が多かったのよ」と、お店の方が話してくれました。
ふなずしといえば、強烈な匂いと酸味で好みがわかれる食材の代表格ですが、その強い個性に寄り添い、旨みの扉を開いてくれるのは、やっぱり湖国・近江の日本酒です。
滋賀のお酒の特徴は、お米由来の甘みとふくよかさがありつつも、後口でスパッときれる酸のコントラスト。「七本鎗」「松の司」「不老泉」など、伝統的な生酛(きもと)*6や山廃(やまはい)*7の酒づくりでナチュラルな味わいに醸す酒蔵が多いのも、「発酵を呼びやすい」風土に育まれた土地柄といえるかもしれません。
*6 人工的な乳酸を一切加えず、天然の乳酸菌を取り込んだ酒母でつくる日本酒の伝統製法
*7 山廃=山卸し廃止の略。生酛から山卸し(酛(もと)すり)の工程を省いた製法
生酛づくりに欠かせない酛すりの風景。現在は機械で酛すりを行う蔵もあり、手作業での生酛づくりは少数派となっている(写真は栃木県の老舗酒蔵・せんきんで撮影したもの。画像提供:堀越典子さん)
人工乳酸を使わず、蔵に棲みつく天然の乳酸菌だけでじっくり発酵させる生酛や山廃のお酒には、特有のミルキーでクリーミーな発酵感が備わります。それが、同じ乳酸発酵によるふなずしのチーズに似た濃厚なコクと酸味に響き合い、うっとりするような調和が完成。
野生酵母のワインにしばしば備わる乳酸的な発酵感とも似ていて、ナチュラルワイン党に「ふなずし×滋賀の生酛・山廃」ファンが多い(筆者調べ)のも、何となく納得がいくような。発酵でどろどろに溶けてお粥状になった飯(いい)と、お燗酒の相性がまた絶品です。ふなずしが苦手な方、食べず嫌いの方は、一度お試しを!
山の精気を宿す野生の酸味、北東北の山ぶどうワイン
人生で初めて飲んだワインはメイド・イン・ジャパン。もちろん、本格的な日本ワインブームが始まった2010年頃よりずーっと昔の話です。
大学時代、スキー合宿で行った田沢湖の民宿で、鍋料理の夕食に合わせて宿の人が用意してくれたのが一升瓶の赤ワインでした。
ワインというより「葡萄酒」の呼び名がしっくりくる濃い赤紫色の液体。手書き文字とブドウの絵だけの簡素なラベルと、ワイングラスよりコップでぐいぐい飲むのが似合う果実感。ジューシーで素直な甘みもあり、「ワインっておいしいものだな!」と思ったのを覚えています。ワイナリーの名前もブドウの種類も気に留めていませんでしたが、あれはきっと山ぶどうのワインだったのだろうと、いまになって思います。
山ぶどうは、『古事記』にも名前が出てくるほど日本に古くから自生する在来の野生ぶどうです。もともとは寒冷な山々に自生する野生のブドウで、ポリフェノールや鉄分が豊富なことから滋養強壮によい果実として珍重されてきた歴史が。北東北の山村では、山ぶどう入りの自家製どぶろくを栄養剤代わりに飲む習慣があったといわれます。
岩手県のくずまきワインなど、東北の山ぶどうワインづくりが始まったのは1979年からといわれています。ただし、一般のブドウより種が大きく、実をつけるまでのスピードも遅いため、収量を安定させるための交配品種の開発が進みました。現在、「山ぶどう系」と呼ばれる品種は、欧米系品種を掛け合わせた「ヤマ・ソービニオン」「ヤマブラン」、国内外の山ぶどうの交配種「小公子」などがポピュラーなところ。山ぶどうは岩手県が最大の産地で、全国収穫量のおよそ7割を占めます。
天然の山ぶどうは冷涼な東北の山間に多く自生。甘さよりも酸味が際立つ野性的な味わい(画像提供:堀越典子さん)
山ぶどうワインの味わいの魅力は、山の精気をぎゅっと凝縮したような野性味とパワフルな酸味。一般にワインと相性が悪いとされる「えぐみ」「アク」「苦み」にも力負けすることなく、岩手のひっつみ汁、ゴボウやキノコがたっぷり入った秋田のきりたんぽ、山菜料理など、山の野趣あふれる郷土料理にもばっちりはまります。
山菜の苦みや独特の香りは山ぶどうのワインと相性抜群
いまは東北のみならず全国のワイナリーでつくられ、国内外にコアなファンを増やしている山ぶどうのワイン。これからも目が離せません。
「島酒」|島だけがもつ、成り立ちの物語
サトウキビ栽培文化から生まれた、奄美群島の黒糖焼酎
ニッポンの「島酒」。そう聞いて多くの人がイメージするのは、離島の焼酎ではないでしょうか。鹿児島県の種子島や屋久島の芋焼酎、長崎県の壱岐島の麦焼酎、最近「東京島酒」の地理的表示(GI)*8で注目を集める伊豆諸島や小笠原諸島の芋・麦焼酎など、島育ちの焼酎にもいろいろありますが、飲むたびに「独特だなあ」と興味をそそられるのが、日本で唯一、鹿児島県の奄美群島でつくられる黒糖焼酎です。
*8 その地域ならではの自然的、人文的、社会的な要因のなかで育まれてきた品質、社会的評価などの特性を有する産品の名称を、地域の知的財産として保護する制度
奄美市内の老舗酒販店「酒屋まえかわ」には、壁一面に170種類を超える黒糖焼酎がずらりと並んでいて壮観(画像提供:堀越典子さん)
初めて飲んだのは、プレミアム本格焼酎ブーム到来の2000年代頃、居酒屋でも焼酎バーでもない都内のオーセンティックバーで。バニラビーンズや焦がしたブラウンシュガーの甘い香りを放ちながら、飲み口はすっきり。洒落たバー空間にも違和感なくなじむ洋酒的な味わいに、「これを本当に焼酎と呼んでいいのだろうか?」と驚きを覚えました。
実際のところ、黒糖焼酎はほかの焼酎にはない特殊なルーツと成り立ちをもつ島酒です。
奄美群島の酒づくりは、もともと沖縄伝来の泡盛が中心でしたが、太平洋戦争下で泡盛の麹に使う米の生産が激減。米の代わりに、特産のサトウキビの搾り汁を加工した黒糖を発酵・蒸留させる「黒糖酒」がつくられるようになりました。黒糖は、それ自体が糖分の塊であるため、麹の力を借りて糖化せずともアルコール発酵が起こせます。サトウキビの搾り汁や糖蜜でつくるラム酒に近いスピリッツといえるでしょう。
サトウキビの茎
刈り入れたサトウキビは圧搾機にかけて搾り汁を取り出し、石灰を加えて2時間以上も煮詰めて黒糖に(画像提供:堀越典子さん)
ただし、日本の酒税法では糖類が原料のお酒は「焼酎」を名乗れず、高い税金が島民の生活を圧迫。奄美群島が戦後に本土復帰する際の特例として、一次仕込みに米麹を使うことを条件に、黒糖での本格焼酎が認められることになったのです。複雑な歴史をたどって生まれたお酒だけに、島人(しまんちゅ)の黒糖焼酎に対する誇りと愛着はひとしお。
日々の「だいやめ(南九州の方言で晩酌の意)」はもちろん、先祖を祀る祭りや伝統行事でも人が集まるところ、必ず黒糖焼酎を飲み交わす光景が。与論島ではお客をもてなす歓迎の儀式として、主が口上を述べてから大盃の黒糖焼酎を飲み干し、ゲストに盃を渡して回し飲みをする「与論献奉」のしきたりが生きています。
耕作放棄地から生まれた柑橘の風、愛媛・大三島のワイン
「え? 島のワイン? 山じゃなくて?」と思われるでしょうか。たしかに、ヨーロッパの地中海沿岸には有名な島ワインの産地がたくさんありますが、日本ではピンとこないかもしれませんね。
けれど、マイナーな存在ながらピカリと光る個性を放つ島ワインは、日本でも少しずつ増えています。広島県と愛媛県を結ぶ「しまなみ海道」のルート上にある、愛媛県今治市の大三島(おおみしま)にも、注目のワイナリーが一軒。2015年設立の「大三島みんなのワイナリー」です。
しまなみ海道にかかる多々羅大橋と大三島。瀬戸内海ならではの穏やかな気候により、柑橘類の栽培が盛んな地域
大三島産ブドウを使った「島白」という名前の白ワインを初めて口にしたとき、とても印象に残ったのが爽やかできれいな柑橘感でした。輸入レモンではなく、国産のレモンゼストに感じるほろ苦みと穏やかな酸。以前から「お酒(主に日本酒)には土地で採れる果物のニュアンスが出る」という自説を勝手にもっていたのですが、わが意を得たり! という感じ。
聞けば、島内では少子高齢化で耕作放棄地が増え、ワイナリーのブドウ畑も荒廃した元ミカン畑を借り受けて造成したものだそう。現在ではワイン用ブドウに関心を寄せる若い農家が増え、シャルドネ、デラウェア、マスカット・ベーリーA、ゲヴュルツトラミネールなど、島の土壌と風土に合う複数の品種が栽培されるようになっています。
シャルドネは白ワイン用の代表的なブドウの品種
さて、島で買ったワインを宿の夕食に持ち込み、いざ晩酌!
感激したのは、瀬戸内海産のマダイやマナガツオ、シンプルな湯豆腐との完璧な相性でした。まさかポン酢にこんなになじむワインが世の中に存在しようとは!
島特産の天日塩、同じしまなみ海道沿いの大島産オリーブオイルに白身魚をちょんとつけ、ワインを柑橘のように見立てて味わうと、これがまた甘露。
これからも増えていきそうな日本の島ワイン。追いかける楽しみが尽きません。
「お酒は地域を映す鏡」。地酒をめぐる旅はこれからも続く
印象に残る「海酒」「山酒」「島酒」のエピソードを駆け足で紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?
振り返ってつくづく思うのは、「お酒は地域を映す鏡」だということ。一口飲むだけで、その土地の風の匂いや空気感、出会った人々の記憶まで呼び覚ますようなパワーを、地酒は確かにもっています。
気象条件や地理条件で語る風土ばかりでなく、そこに住む人々の気風や暮らしの営み、お酒の誕生をめぐるストーリー、つくり手の知恵と技術と経験の蓄積、飲む人の嗜好や楽しみ方まで含めた「人」のテロワールこそが、地酒を味わい深いものにしているのだと感じます。
今回は紹介できませんでしたが、クラフトビールやクラフトサケ、クラフトジンなど、ニューウェーブ組の進出も注目したいところ。地酒をめぐる冒険は、これからも続いていきそうです。
この記事の内容は2026年9月3日掲載時のものです。
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Credits
- 取材・執筆
- 堀越典子
- 編集
- 服部桃子(CINRA, Inc.)