全国47都道府県のなかからひとつの地域を取り上げ、ゆかりのある方にその地域の魅力を聞く「47 Local Stories」。
第5回は「高知県」。今回は高知県出身の3名——声優の小野大輔さん、俳優・モデルの鶴嶋乃愛さん、絵本作家・イラストレーターの柴田ケイコさんがアンケートに答えてくれました。高知で過ごした時間のなかで刻まれた記憶や、何気ない日常のなかで生まれたインスピレーションとは? 観光情報サイトやSNSには載らない、実体験をとおして見える高知県のリアルを教えてもらいます。
小野大輔[声優:佐川町出身]
小野大輔さん
声優。代表作に『涼宮ハルヒの憂鬱』古泉一樹役、『ジョジョの奇妙な冒険』空条承太郎役、『おそ松さん』松野十四松役など。2010年から高知県観光特使、2017年からは佐川町観光大使を務める
―地元で好きな場所はどこですか?
高知市の中心街である帯屋町と高知城。大好きな映画『海がきこえる』でも印象的に描かれている場所です。
僕自身、中高生の頃に学び、遊んだ、まさに青春の舞台でした。ライトアップされた夜の高知城を見上げると、夢を抱いて上京した当時のことを思い出します。
―子ども時代、自然のなかで過ごされた佐川町での経験は、いま振り返ると、声のお仕事やご自身の表現のあり方にどのようにつながっていると感じますか?
春の佐川町は、町じゅうが満開の桜で埋め尽くされます。あの美しい景色は、いつでも思い出せます。
桜の花びらが舞い散る川沿いの道を歩いた経験は、声優として「美しいもの」を表現するうえでの礎になっている気がします。
―これから地元とどのようにかかわっていけたら理想的だと感じますか? 思い描いているイメージがあればぜひ教えてください。
声優として、特に大切にしているお仕事が朗読劇です。
でも、高知県には朗読劇の文化がまだ根づいていません。これまで数多くの朗読舞台にかかわらせていただくなかで、「高知の人たちにも見てもらいたい」と幾度となく思い、スタッフさんたちにお願いもしてきました。念願叶って高知公演が実現したコンテンツもあります。
これからは、そうした機会をどんどん増やしていきたい。声優仲間を故郷に呼びたいし、ファンの方々もみんなひっくるめて、高知を好きになって帰ってほしい。そんな夢を抱いています。
鶴嶋乃愛[俳優・モデル:高知県出身]
鶴嶋乃愛さん
俳優・モデル。2013年に『ピチレモン』専属モデルとしてデビューし、2019年『仮面ライダーゼロワン』でヒロイン・イズ役を務めた。『よさこい高知文化祭 2026』広報大使を務める
―地元で好きな場所はどこですか?
帯屋町商店街と仁淀川は、小さい頃から学生時代まで、幾度となく足を運んだ場所です。休日に家族と出かけておいしい食事をいただいたり、放課後に友達とカフェへ行ったり。なかでも、仁淀川から見た花火は本当に美しくて、高知の夏を感じさせてくれる、いまでもたびたび思い出す幸せな記憶です。
自然が豊かな高知だからこそ味わえる新鮮な空気。お祭りとなれば県内外からたくさんの人が集まって、街じゅうが活気にあふれます。
そんな高知が、私は大好きです。
帯屋町のアーケード前にて(画像提供:鶴嶋乃愛さん)

鶴嶋
成人の日に、「私の青春といえば!」ということで、帯屋町を訪れて写真を撮ってもらいました。大好きな友達と、学生時代に通っていたカフェへ行けたのも幸せな思い出です。そのカフェはいまでも足を運んでいる、大切な場所です。
―高知で過ごした時間や経験が、いまの俳優というお仕事に影響していると感じることはありますか?
大変ありがたいことに、自宅の周りも含めて自然に恵まれた環境で育ちました。だから、幼い頃から読書やスケッチをするのは決まって山や、自然豊かな公園でした。
そこで聞こえてくるのは、風の心地よい音や鳥の鳴き声。時にはキツネに出会うこともありました。そんななかで本を読んでいると、自然と感覚が研ぎ澄まされていくんです。お芝居で役の奥深くに入り込むときにも、それとよく似た感情を覚えます。
聞こえるもの、目にするもの——すべてが自然に囲まれて育ったからこそ、何かの世界に没頭したり、入り込んだりすることが、私にとっては特別ではなく、ごく日常的な感覚でした。その経験が、いまの俳優業にとても活かされていると強く感じています。
―高知をまだ訪れたことがない人に、「ここだけは/これだけは体験してほしい」と薦めるなら何を挙げますか?
自然の豊かさはいうまでもなく、空気もおいしくて、川もとても美しい。ぜひ四万十川や仁淀川に足を運んで、たっぷりマイナスイオンを浴びていただきたいです! 心も身体も、きっとスッキリします。
そして、なんといっても新鮮な鰹のタタキ。「鰹のタタキは高知のじゃないと!」と強く思うほど、私が大好きな郷土料理です。ぜひ高知のおいしい食事も楽しんで帰っていただきたいです。
柴田ケイコ[絵本作家・イラストレーター:高知県出身・在住]
柴田ケイコさん
絵本作家・イラストレーター。2016年『めがねこ』で絵本作家デビュー。『パンどろぼう』シリーズが大ヒット。高知市の観光キャラクター「ぼうしパンファミリー」も手がける
―高知県で好きな場所はどこですか?
山は、季節によって色が変わり、匂いが変わり、鳥の鳴き声も変わってきます。そんな移ろいが楽しくて、山全般が大好きな場所です。
そして、頂上で食べるご飯のおいしいこと。特に高知市南部にある烏帽子山は、人に慣れたヤマガラの姿が見られることがあります。鳥好きの私にとって、とてもうれしい場所です。
また、仁淀川の河口や、黒潮町にある入野海岸は、美しい海とさざなみの音に包まれて、心穏やかになれる場所です。
―高知で暮らしながら制作を続けるなかで、日常の出来事や土地の空気がご自身の創作(絵・物語)に影響を与えていると感じることはありますか?
あまり意識していなかったのですが、私の作品には木々や森、山や海、食べ物がよく登場します。
自然のなかで過ごし、それを日常的に目にしていることが、無意識のうちに影響しているのだなと、最近感じています。
―高知市観光協会のキャラクター「ぼうしパンファミリー」のように、地元の仕事を手がけるときに意識していることはありますか?
地元のおいしい素材をテーマにご依頼をいただくと、やはり地元民として素直にうれしい気持ちになります。そのうえで、基本的にはどの土地のお仕事でも、同じようにフラットに考えて仕上げていくことを大事にしています。
「ぼうしパンファミリー」は、高知名物のぼうしパンをモチーフにした4人家族のキャラクターです。このキャラクターたちを通じて、高知県内はもちろん、観光で訪れた県外・海外の方々の目にも触れて愛され、「ぼうしパン=高知」として知ってもらうきっかけになればうれしいですね。
「ぼうしパンファミリー」のイラスト。「パパボ」「ママボ」「ボーミー(姉)」「ボーシー(弟)」の4人家族(画像提供:高知市観光協会)
地域のストーリーは、一人ひとりの記憶のなかに
ライトアップされた高知城を見上げた青春の日々、帯屋町商店街や仁淀川に重なる家族や友人との時間、そして作品のなかにも息づく山や海、食べ物の記憶——。それぞれの言葉をたどるなかで見えてきたのは、高知の風景や空気、人との時間が、3人の感性や表現の土台に静かにつながっているということでした。
地域に根づく記憶をたどると、ただ訪れるだけではわからない、その地域のリアルな魅力が見えてくる。次回はどの地域のどんな記憶と風景に出会えるでしょうか。どうぞお楽しみに。
この記事の内容は2026年6月25日掲載時のものです。
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Credits
- 編集
- 包國文朗(CINRA, Inc.)