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地域のリアルこそ、学びの宝庫。ミネルバ大学の学生らが釜石で学んだこととは?
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「街そのものが教室になるとしたら、どんな学びが生まれるのか?」
学生が4年間で4つの大陸を巡り、各地の社会課題に向き合う「探究型フィールド教育」を実践する、サンフランシスコに本部を置くミネルバ大学。2025年9月には8か所目の拠点を東京に設立*¹し、学生たちは1年間日本に滞在しながら、地域に根ざした実践的な学びに取り組んでいます。
同年11月、ミネルバ大学の学生たちは岩手県釜石市に集い、震災復興や防災をテーマに地域の人々と対話をするなど、現地でリアルな課題に触れる探究学習プログラムに参加しました。
人口減少が進む地方都市としての現実、震災からの復興の歩み、そして人と人とのつながりが支えてきた地域社会としてのあり方──学生たちは、釜石ならではの課題に向き合いながら、自ら問いを立て、答えのない課題に挑みます。そこには、地域の未来を考え、学び合いを通じて新たな価値を生み出そうとする関係者たちの熱い想いも込められていました。地域と世界をつなぐ新しい教育モデルの最前線から、これからの学びの可能性を探ります。
*¹ 日本財団の支援によるミネルバ大学の東京ローテーション・プログラム
ミネルバ大学が選んだ、「釜石」という学びのフィールド
世界中をフィールドに、「現地」で学ぶ探究学習を実践するミネルバ大学。人口動態の変化、地域格差、気候変動、災害の激甚化など、多くの社会課題を抱える日本も、その学びのフィールドのひとつです。
2025年11月、ミネルバ大学の2年生約50名が岩手県釜石市を訪問。今回のプログラムの目的や得られた成果について、ミネルバ大学 東京シティ・ディレクターのジェニファー・バトラーさんにお話をうかがいました。
─ミネルバ大学は複数の都市を「移動しながら学ぶ」という、ほかに類を見ない教育機関です。あらためて、特徴や大切にしていることを教えてください。
ジェニファー
ミネルバ大学は、世界中のさまざまな地域をフィールドに、「探究学習」を行う大学です。大切にしているのは、「City as classroom」、つまり、「街そのものが教室である」という考え方。学生たちは街という大きな教室のなかで、そこに息づく文化や産業、そして社会課題に触れながら、主体的に考え、探究を深めていきます。特に、地域で暮らす人々や、自治体の方など、いろいろな人と対話をする機会と、そこから得る学びや気づきを大切にしています。
ミネルバ大学 学生生活課 東京シティ・ディレクターのジェニファー・バトラーさん
─テクノロジーが発達し、オンラインで世界中のどこにいても学べる時代です。そのなかで、あえて「現地での体験」にこだわっているのは、とてもユニークだと感じます。
ジェニファー
ミネルバ大学にもテクノロジーによって、世界中どこからでも授業を受けられる仕組みがあり、パソコンのスクリーン越しでも、情報や知識を得ることはできます。ただ、それだけではなく、地域を訪れて、人と直接会うことも不可欠であると考えています。世界中で起こっている問題に当事者意識を持って取り組むためには、実際に現場でどんなことが起きているのか、社会課題に向き合う当事者がどんな思いを抱えているのかといった、リアルを学ぶことが大切です。そうしたリアルなフィールドで得た体験とオンラインを組み合わせることで、ミネルバの教育モデルが最大限に機能すると考えています。
─なぜ今回、日本を学びのフィールドに選ばれたのでしょうか? また、日本での学びに際し、期待されていることをお聞かせいただけますか。
ジェニファー
ミネルバ大学の学生たちは、4年間をかけ、4つのロケーションで学んでいきます。その拠点のひとつに日本を選んだ理由として、まずは東京を中心に非常にイノベーティブな国であること。そして、近代的な要素とミックスした伝統文化に触れられる。そこがとても大きなポイントでした。
また、日本はいま、さまざまな社会課題を抱えています。それは現在、世界が直面している、あるいはこれから直面する「グローバルな課題」でもあります。たとえば、人口動態の変化、地域格差などの社会問題は、日本が先行して経験しているテーマであり、世界各国にとっても重要な検討課題です。こうした課題に対して、世界中から集まった学生たちが持つ知見やノウハウを活かし、ソリューションを構築していくことができる。その意味で、日本を学びのフィールドに選んだことは非常に意義があると考えています。
─今回の釜石市での探究学習プログラムについてうかがいます。防災・復興の経験を持つ釜石市を舞台に実施されましたが、このプログラムを立ち上げた背景と、大学としてどのような狙いを持っていたのか教えてください。
ジェニファー
まず、私たちは日本の震災復興・防災に関する取り組みをプログラムのテーマにしたいと考えていました。
候補地はいくつもありましたが、「防災」という観点から、釜石市が東日本大震災の被害からの復興や、街の再建という大きな課題に対峙してきた街であることを知りました。
ここならば、ミネルバの学生ならではの視点を活かして貢献できることがあるのではないか。そんな期待も今回のプログラムをスタートさせた理由の一つです。
釜石市での探究学習プログラム(概要)
■期間
4泊5日(2025年11月6日~10日)
■参加者
ミネルバ大学2年生 約50名
■目的・特徴
震災復興や防災をテーマに、地域の現場でリアルな課題に触れる探究型プログラム。
■主な学び・体験内容
①震災・防災・復興の現場訪問
– TSUNAMIメモリアルや奇跡の一本松、いのちをつなぐ未来館などを視察し、震災の記憶や復興の歩みを学ぶ。
②防災訓練・防災教育の体験
– 実際の避難ルートをたどる追体験や防災教育プログラムの受講を通じて、地域が抱える防災課題を体感する。
③地域住民・関係者との対話
– 被災者や地域関係者の声を聞き、観光振興や地域活性化の取り組みを学ぶ。
─実際にプログラムを終えたいま、率直な感想をお聞かせいただけますか。
ジェニファー
とても満足していますし、実際に釜石市を訪れた学生たちにとっては、忘れられない体験になったのではないかと感じています。特に、「地域の人々と交流し、心が通い合う感覚を抱いた」「温かい気持ちが芽生えた」という声を、本当に多くの学生から聞きました。ある学生は、また釜石市に来たいと話していましたね。
実施にあたっては、ミネルバ大学のスタッフ、釜石市、そしてプログラムの共同設計を行ったNTT東日本が事前に議論を重ねました。また、実際に現地を訪れる前には事前学習会として、NTT東日本の防災研究所から地域防災についての講義を受け、理解を深めたうえで釜石市でのプログラムに臨みました。こうした入念な準備も、学生の満足につながったのではないでしょうか。
プログラムの最後には、ミネルバ大学の学生が市長や地域の方々を前に、フィールドワークを踏まえた釜石市の防災・復興の取り組みにまつわるアイデアを発表する機会を持てたことも良かったと思います。
釜石市での探究学習プログラム、オリエンテーションの様子
─今後、日本での取り組みをどのように発展させていきたいと考えていますか?
ジェニファー
初年度の取り組みとしてはポジティブな成果が得られました。ただ、来年度以降はこの土台を活かし、さらに高度なプログラムへと発展させていく必要があります。引き続きさまざまな方と協力しながら、日本での探究学習をより実りあるものにしていきたいと思っています。
釜石と学生がともに学び合う。新たな「つながり」が地域にもたらすものとは?
震災後のまちづくりを支えてきた関係者たちの声や地域の人々の思い、現場のリアルな空気感に触れることは、学生にとって貴重な経験となります。では、それを受け入れる自治体には、どのような狙いや期待感があったのでしょうか?
釜石市でオープンシティ・プロモーションを担当する佐々木護さんに、ミネルバ大学とのコラボレーションに至った背景と、今回のプログラムによってもたらされた「期待」についてうかがいました。
─はじめに、現在の釜石市が抱える課題と、今回、ミネルバ大学とのコラボレーションに至った経緯を教えてください。
佐々木
東日本大震災から14年が経ち、ハード面の復興に関しては一定の区切りが見えてきた段階まで来ているのではないかと思います。ただ、被災した方々の心のケアは引き続き必要ですし、復興後の街を元気にしなければ、持続可能な未来は望めないのではないか。いまはそんな危機感を抱いています。
実際、釜石市の人口は最盛期の約9万2,000人から、直近では約2万8,000人まで減少してしまいました。もちろん、そうした状況に対してさまざまな施策を打ち出していますが、一方で人口減少に関しては全国の自治体で起こっていますし、ある程度は仕方のないことだととらえています。そこで、釜石市では人口の減少を緩和させるとともに、「つながり人口」を増やすことを掲げ、10年前にオープンシティ戦略を策定しました。
釜石市 経営企画部 オープンシティ・プロモーション室 室長の佐々木護さん
─「つながり人口」とは、どのような考え方なのでしょうか?
佐々木
一般的には「関係人口」と呼ばれますが、私たちは「つながり人口」と表現しています。そこには、震災以降、多くの方々からいただいたご支援や、世界中から釜石市を訪れてくださる方々とのつながりを大切にしていこうという思いが込められています。つながり人口を増やしていくことで活力を生み、人口減をカバーしようというのが私たちの基本的な考え方です。
たとえば数年前からは、ワーケーション型の研修に力を入れてきました。震災の追体験や、地域課題の解決をテーマにしたプログラムを展開し、2023年には企業の研修や学校の授業の一環で約1,000人の方が釜石市を訪れています。今回、ミネルバ大学さんに選んでいただいたのも、そうした取り組みに関心を抱いていただいたからではないかと受け止めています。
─実際、ミネルバ大学の学生と向き合ってみて、どんな印象を持たれましたか?
佐々木
能力の高さ以上に印象的だったのは、学生さんたちがこれまでに訪れたフィールドで培ってきたであろう、多様な視点です。講話後の質問タイムでは、こちらがストップをかけない限り、永遠に質問が続くのではないかというくらい多くの手が挙がり、一つひとつの問いも本質的で驚かされました。
たとえば、ある学生さんからは「震災後、支援を受ける企業をどのような基準で選んだのか」という問いがあり、ミネルバ大学の学生さんらしい視点だと感じましたし、私たちも自身の取り組みを見つめ直すきっかけをもらったように思います。
釜石市での探究学習プログラムのオリエンテーションにて、学生たちに釜石市の概要や今後のプログラムの紹介、そしてミネルバ大学の学生たちに期待することについて話す佐々木さん
─今回、学生を迎え入れて学びのフィールドを提供する立場でしたが、釜石市としては学生と交流することで、どのようなことを期待していますか?
佐々木
釜石市は人口が減少するなかでも、外国人の割合は増えています。また、国籍も多様になっています。こうした背景もあり、普段は海外で暮らすミネルバ大学の学生さんの目線で「こんな防災の仕組みがあると、外国人にとっても安心できる」といった意見をいただき、議論を深めたいと思っています。
次回以降は、市内の中学生・高校生とミネルバ大学の学生さんとの触れ合いの場もつくりたいですね。世界の学生さんたちと地域の子どもたちが出会い、議論をして、何が生まれるのか。非常に期待しています。
教育が地域を変え、地域が教育を育てる──NTT東日本が描く新しい学びのかたち
今回の釜石市でのプログラムをはじめ、ミネルバ大学の日本における探究学習プログラムを共同設計しているのが、NTT東日本。そもそも通信事業を生業とするNTT東日本が、なぜ教育を支援することになったのでしょうか。
そこには、地域に根ざす企業として、社会課題に挑む人材を育成することで持続可能な地域循環型社会を実現したいという、強い思いがあります。NTT東日本で次世代教育プロジェクトの全体統括を担う佐野雅啓さんに、その思いをうかがいました。
─ミネルバ大学とNTT東日本の探究学習プログラムの舞台として、釜石市を選んだ背景を教えてください。
佐野
日本は世界有数の自然災害多発国であり、防災はまさに「課題先進国」を象徴するテーマです。また、気候変動や災害対応は、グローバルリーダーが直面する重要課題の一つでもあります。そのため、防災を学ぶことは、次世代のリーダーシップを育む上でも欠かせないテーマだと捉えています。
地域防災を考えるうえで、東日本大震災を経験した釜石市は特に象徴的な地域と言えるでしょう。「防災運動会」や「避難路追体験」「防災ウォークラリー」など、体験型の防災教育プログラムを積極的に展開しており、地域全体での防災意識が非常に高いことでも知られています。
こうした環境は、学生自ら問いを立て、解決策を考える探究学習のフィールドとして、生きる力や学ぶ力を培ううえでも非常に意義がある。そう考え、釜石市を選定しました。
NTT東日本 ビジネス開発本部 営業戦略推進部 担当部長 佐野雅啓さん
─先ほど「自ら問いを立て、課題を解決していくアプローチに意義がある」というお話がありました。「探究学習」という言葉も使われていますが、具体的にはどのような学習方法なのですか?
佐野
私たちは、探究学習とは学生自身が問いを設定し、リサーチを積み重ね、実際に現場へ足を運びながら気づきを得ることで、地域の新たな価値や課題を見出していく学び方だと考えています。そこからさらに思考を深めて、自分なりの答えにたどり着くまで試行錯誤を続ける。そのプロセス自体が学びであり、「これが正解」という答えはありません。
だからこそ、講師には学生一人ひとりの多様な興味や関心に寄り添いながら、一緒に課題に向き合う姿勢が求められます。
─釜石市での探究学習プログラムに参加したミネルバ大学の学生には、現場に入ったからこそ得られた学びや気づきは見られましたか?
佐野
多くの学生が、地域に触れるなかでさまざまな学びや気づきを得ていたと思います。たとえば、地元旅館の女将さんとの対話では、ある学生が「生きる力」や「人を信じる力」を学んだと話してくれました。
また、学生の視点をとおして、逆にわれわれが気づかされる場面もありました。釜石市で避難訓練を体験してもらった際、日本ではお馴染みの防災無線のサイレンが、海外の学生には避難誘導の合図だと認識されないことがわかったのです。もし、海外からの旅行者が被災した場合、どう行動していいかわからずに逃げ遅れてしまう可能性があります。
私たちが「当たり前」だと思っている仕組みも、グローバルな視点で見ると問題点や改善すべき点が浮き彫りになってくる。「グローカル」という言葉がありますが、地域課題を考える際にはグローバルな視点でローカルをとらえることも重要なのではないかと思います。
今回のプログラムでは、実際に避難ルートを体験するプログラムも。防災訓練の説明する佐野さん
─いま、こうした探究学習が求められている背景を教えてください。
佐野
いまは、これまで正解だとされてきた価値観や前提が、次々と更新されていく時代です。社会も複雑化し、さまざまな課題を抱えています。そうした状況のなかでは、自ら問いを立て、現場で考え続ける「探究型」の姿勢が欠かせません。
実際、国際学力調査であるPISA*2などでも、日本の生徒は数学や読解といった教科学習の到達度は高い一方で、学習への向き合い方や自己効力感の面では、さらなる工夫の余地があることが示唆されています。これは教育現場だけの問題というより、社会全体として向き合うべきテーマだと感じています。
持続可能な地域循環型社会の実現には、地域に根ざし、当事者として課題解決に関わるソーシャルイノベーション人材の存在が不可欠です。そのためには知識を得るだけでなく、実際に地域に入り、試行錯誤しながら考え、行動する経験を通して得られる「知恵」が大切だと考えています。
従来型の「教えられた答えを当てにいく」学びだけでは、社会に出てから直面する複雑な課題には対応しきれません。だからこそ私たちNTT東日本も地域を支えるソーシャルイノベーションパートナーとして、探究学習の機会を増やし、次の時代を担う人材の育成に貢献していきたいと考えています。
*2 OECD(経済協力開発機構)が実施する15歳を対象とした国際的な学習到達度調査(Programme for International Student Assessment)の略称
─NTT東日本では、ミネルバ大学との共創以前から探究型の教育事業に取り組んできたそうですね。
佐野
はい。2022年にドルトン東京学園と連携協定を締結し、探究型の教育機会の創出と地域の価値創造の推進に取り組んできました。ドルトン東京学園はまさしく探究学習の領域で、先進的な実践を行ってきた学校です。そこにNTT東日本が持つテクノロジーを掛け合わせることで、「情報やデータを活用しながら自ら考え、動く人材」を育成する、新たな学習モデルを確立できると考えました。
2023年には、ドルトン東京学園の選択制授業として、地域をフィールドに探究学習を行う「地域共創ラボ」を立ち上げました。生徒たちが実際に地域を訪れ、地元の人たちと交流し、地域の資源に触れながら学びを深めるプログラムです。
─ドルトン東京学園やミネルバ大学との共創で培った教育の知見を、今後はどのように発展させていきますか?
佐野
2025年からは河合塾グループと連携協定を結び、リアルとデジタルを融合させたハイブリッド型の探究学習プログラムの共同開発をスタートさせました。これはまさに、ミネルバ大学式の学びを取り入れた、国内でも前例のない新しいかたちの学校です。一言で表すと「好奇心モンスター」が集まり、究極の探究を行う場所。NTT東日本がこれまで培ってきた知見も活かしながら、新しい教育モデルをつくっていきます。
今回の釜石市でのプロジェクトは防災や震災復興というテーマでしたが、地域はほかにも多くの社会課題を抱えています。農業、医療など、さまざまなテーマを設定しながら、地域とともに歩んでいくような教育モデルの確立を推進していきます。
これにより、世界の潮流を見据えながら日本の課題に挑む「グローカル人材」育成を加速させたいと考えています。
釜石市での体験を通じ、学生たちが感じたこと
実際に釜石市での探究学習を行ったミネルバ大学の学生たちは、現地でどんなことを感じ、何を得たのでしょうか? 釜石市でのプログラムを終えた直後の、ミネルバ大学2年生の田原青央さんとポーランド出身のティモテウシュ・グララクさんの声を紹介します。

田原
私は仙台市出身で、7歳のときに東日本大震災を経験しました。経験したといっても当時は幼かったこともあり、3.11の記憶はほとんどありません。両親にとっては辛い体験でもあるため、家庭内でもそのことについての会話はほとんどない状態。当時のことを学びたい、両親のジャーニーを理解してみたいという思いは常に心のなかにありました。
今回のプログラムで釜石市を訪れ、地域の人や関係者の方々の話を聞くなかで強く心に残ったのは、震災後のまちづくりにかかわる人たちから感じた、釜石に対するプライドや地域を大切に思う気持ちです。

田原
私はいま大学2年生で、これからもさまざまな国を訪れる予定です。それぞれの国で積極的に現地の人とかかわり、意味のある時間を過ごしたい。その国の課題を自分ごととして語れるよう、当事者たちの思いを理解しなくてはいけません。そして、そこで聞いたリアルな課題や、限られたリソースのなかで試行錯誤しながら構築されてきたクリエイティブなソリューションを、社会の中心で意思決定をする側に伝えられる人間になりたいと思っています。

ティモテウシュ
今回の釜石での探究学習プログラムでは、本当に多くのことを学びました。特に印象的だったのは、釜石市のレジリエンスやコミュニティの強い団結力です。人と人との、強い結びつきを感じました。
滞在中は、陸前高田市の「奇跡の一本松」も訪れ、当時の出来事や記憶を伝えるミュージアムにも行きました。私自身、心に深く刺さるものがありましたし、友人のひとりはあらためて津波の脅威にショックを受け、涙を流していました。
もちろん、インターネットを通じて一本松の存在を知ったり、津波の映像を見たりすることもできます。ただ、実際に現場を訪れて当時の「リアル」を肌で感じたことで、私はこれまで本当の意味では何も学べていかなったことに気づきました。

ティモテウシュ
今回、釜石や東京で学んだことや、これからミネルバ大学で体験することを、今後の人生に活かしていきたいです。さまざまな国と地域のカルチャーを深く理解し、向き合っていく。そして、アクションを起こしていけるような人物になりたいです。
もうひとり、探究型の教育に力を入れるドルトン東京学園高等部1年生の須藤太一さんにも感想をうかがいました。須藤さんは、ミネルバ大学学生との交流を目的として、今回のプログラムに公募で参加し、現地で通訳などのサポートを担当しました。

須藤
今回、ミネルバ大学のみなさんと一緒に活動するなかで、現地の方々に積極的に質問していく姿勢にとても刺激を受けました。
普段の授業との大きな違いは、「まずフィールドワークしてから調べる」というプロセスです。私たちは通常、インターネットで調べてから現場に向かいますが、ミネルバ大学の学び方では、まず現場で「リアル」を体験し、そのあとで知識を深めていく。ネットの情報だけでは知れない「生の声」を聞けるからこそ得られる学びが多く、記憶にも強く残ると感じました。

須藤
もともとまちづくりや都市計画に興味があり、今回の釜石での経験をとおして、コミュニティを活かしながら復興を進めてきたプロセスを学ぶことができました。「都市計画はハード面だけでなく、人と人とのつながりで成り立つもの」という新しい発見もありました。
さらに、ミネルバ大学の学生に教えてもらったビジネス系のSNSをきっかけに、海外の建築家や都市計画に携わる方ともつながることができました。今回の経験をもとに、これからもいろいろな人と対話し、自分自身がハブとなって人を巻き込みながら、いつかまちづくりに携わっていきたいと思っています。
この記事の内容は2026年1月23日掲載時のものです。
Credits
- 取材・執筆
- 榎並紀之(やじろべえ)
- 撮影
- STORYTELLING Co., Ltd.、安部翔吾(NTT東日本)
- 通訳
- 畠山勝幾(NTT東日本)
- 編集
- 篠崎奈津子(CINRA, Inc.)























